東海会の活動について

支援活動報告

日本弁理士会東海会が各地で行った支援活動をご紹介しています。

2011/06/30

NPO団体たかはま夢・未来塾「高浜少年少女発明クラブ員に対する知財講義」

1.事業名:NPO団体 たかはま夢・未来塾「高浜少年少女発明クラブ員に対する知財講義」

2.日 時:平成23年5月14日(土)11:00~12:00

3.場 所:たかはま夢・未来塾(高浜市神明町2-18-13)

4.実施者:(主催・運営)NPO団体 たかはま夢・未来塾

5.内 容:特許についてのお話、工作

6.対象者:小学4年~中学1年 37名程度

7.担当部署:日本弁理士会東海支部 教育機関支援機構

8.講 師:東海支部 教育機関支援キャラバン隊 隊員 伊東 正樹

9.コメント:
 当日は、最初に発明と特許について簡単に説明し、主婦の発明事例などを使って身近な工夫で発明することができることや同じように生徒の皆にも発明が可能であることを説明しました。
その後、生徒たちには発明の課題としてテーブルの真ん中においた目の前のセロハンテープ(台付のもの)を周囲のみんなが等しく使いやすくするにはどうするか考えてもらいました。いろいろな意見が出る中で、解決手段の一例として回転台があることを教え、市販の回転台で実演するとともに、身近なビー玉と紙皿を使って同様の機能を奏する構成をみんなで考えて実際に作ってもらいました。
 講義中の生徒は大人しかったのですが、工作の時間になると徐々に生き生きし出し、楽しそうに動き出しました。中には最初どうして良いか分からず、ただビー玉を転がして遊ぶ子も多かったのですが、こまめに回ってアイデアのヒントやアドバイスを丁寧にすることで、コツを掴む子が徐々に増えていきました。
 今回、参加者の多くが小学校中高学年ということで、長時間話を集中して聴くことになれていない子が多いため、クラブ側からは座学よりも手を動かした方が楽めるとの要望もあって工作を取り入れましたが、生徒たちとのコミュニケーションを取りながら楽しく授業ができたと思います。ただ、生徒が37名と多かったのでクラブ側からサポート役の方を数名用意していただいたのですが、全体で一時間と短く、最後は完成できない子もいて時間的にやや厳しかったところがありました。後日クラブ側からのアンケート結果をいただき、多くの生徒からすごく楽しかったとのお声を頂いたときは、やはりやってよかったと思います。来年の講演も期待されているようですので、要請があれば協力していきたいと思います。

日本弁理士会東海支部 教育機関支援キャラバン隊
隊員 伊東 正樹

2011/06/30

岐阜大学産官学融合本部主催「知的財産セミナープレ遊GO」

1.事業名:岐阜大学知的財産セミナープレ遊GO「事例に学ぶ知的財産権」

2.日 時:平成23年5月13日(金)16:30~17:30

3.場 所:岐阜大学産官学融合本部 1階ミーティングルーム

4.実施者:(主催・運営)岐阜大学産官学融合本部

5.内 容:発明における解決課題と進歩性

6.対象者:岐阜大学産官学融合本部職員、一般企業関係者等、約30人

7.担当部署:日本弁理士会東海支部 教育機関支援機構

8.講 師:日本弁理士会東海支部 教育機関大学支援キャラバン隊 隊員 廣江 武典

9.コメント:
 事例に学ぶ知的財産権というテーマで毎月開催されるセミナーにおいて、今回は「発明における解決課題と進歩性」について解説しました。題材とした事案は、特許第3561899号(換気扇フィルター及びその製造方法)の無効審決を取消した審決取消訴訟についてです。
 審決取消訴訟の原告特許は、不織布製フィルター材が金属製フィルター枠に、水性エマルジョン系接着剤を用いて接着されるものです。無効審判では、原告特許と引用発明との相違点は、接着材として水性エマルジョン系接着剤を用いている点であると認定されました。そして、不織布製フィルター材と金属製フィルター枠を分別して廃棄することは、周知の技術的課題であり、当該課題を解決するために接着剤として周知の水性エマルジョン系接着剤を用いることは、当業者であれば容易になし得たことであると、進歩性を否定しました。
 しかし、審決取消訴訟(知財高裁)では、進歩性の有無の判断に当たっては、「解決課題の設定が容易であったか」及び「解決課題のために特定の構成を採用することが容易であったか否か」を総合的に判断するべきとする基準を示し、原告特許発明の解決課題は、「金属製フィルター枠と不織布製フィルター材とが接着剤で接着されている換気扇フィルターにおいて,通常の状態では強固に接着されているが,使用後は容易に両者を分別し得るようにして,素材毎に分別して廃棄することを可能とすること」であり、無効審判で示された証拠には、この点は記載も示唆もされていないと認定しました。
 そして、「無効審決には、本願の解決課題を正確に認定していない点で誤りがあり、誤った解決課題を前提として上で、本願発明が容易想到であるとした点において誤りがあるため、取り消されるべきである」とする判決をしました。
 通常、大学等における発明者の多くは、構成の困難性や進歩性のみに注意が集中し、課題のとらえ方については深く考えない傾向があり、この判決により発明を多角的に把握する必要性を改めて認識したとの感想が寄せられました。

日本弁理士会東海支部 大学支援キャラバン隊
隊員 廣江 武典

2011/05/31

岐阜大学産官学融合本部主催「知的財産セミナープレ遊GO」

1.事業名:岐阜大学知的財産セミナープレ遊GO「事例に学ぶ知的財産権」

2.日 時:平成23年4月8日(金) 16:30~17:30

3.場 所:岐阜大学産官学融合本部 1階ミーティングルーム

4.実施者:(主催・運営)岐阜大学産官学融合本部

5.内 容:TV番組のネット転送をめぐる著作権侵害事件(Ⅰ)(Ⅱ)

6.対象者:岐阜大学産官学融合本部職員、一般企業関係者等、約20人

7.担当部署:日本弁理士会東海支部 教育機関支援機構

8.講 師:日本弁理士会東海支部 教育機関大学支援キャラバン隊 隊員 廣江 武典

9.コメント:
 事例に学ぶ知的財産権というテーマで毎月開催されるセミナーにおいて、今回は、前回に引き続き、TV番組のネット転送をめぐる著作権の侵害事件をいくつか取り上げて解説しました。特に今回は、知財高裁の判決を破棄して差し戻し判決をしたロクラクⅡ事件最高裁判決を中心に解説しました。
 このロクラクⅡ事件(知財高裁 平成21年1月27日判決)では、サービス業者が、番組を録画する親機ロクラクをユーザに貸与し、親機ロクラクに対して番組録画の指示を出してその録画データをインターネット経由で受信して再生する子機ロクラクをユーザに販売していました。そして、知財高裁は、番組を録画する親機ロクラクを一箇所で保守管理を行っているサービス業者の行為は、利用者の自由な意思に基づいて行われる私的使用のための複製を容易にするための環境、条件等の提供行為に過ぎず、サービス業者が番組の複製をしている主体とは認められないと判断しました。
 しかし、最高裁では、複製の主体の判断に当たっては、複製の対象、方法、複製への関与の内容、程度等の諸要素を考慮して、誰が当該著作物の複製をしているといえるかを判断するのが相当であるとし、サービス業者は、単に複製を容易にするための環境、条件等を整備しているにとどまらず、その管理・支配下において、放送を受信して複製機器に対して放送番組等に係る情報を入力するという、複製機器を用いた放送番組等の複製の実現における枢要な行為をしていると認定しました。そして、この行為がなければ、利用者が放送番組等の複製をすることは不可能であり、サービス業者は複製の主体というに十分であると判断して、知財高裁の判決を破棄し、差し戻し判決をしました。

日本弁理士会東海支部 大学支援キャラバン隊
隊員 廣江 武典