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新聞掲載記事

更新:2021/01/29

意匠制度のご紹介~製品等のデザインを保護する制度です~

1.意匠とは
  意匠を簡単に説明すると、製品等のデザインということができます。特許が自然法則を利用した技術的思想の創
 作であるのに対し、意匠は製品等の形状、模様、色彩といった視覚に訴えるものの創作です。意匠の創作は、製品
 等のより美しい外観、より使い勝手のよい外観を探求する行為ですが、目で見て直ぐわかるものであるため、容易
 に模倣されてしまいます。
  意匠制度は、新しく創作された意匠を創作者の財産と位置付け、その保護と利用のルールについて定めることに
 より、意匠の創作を奨励し、産業の発達に寄与することを目的としています。
  意匠法の保護対象となる「意匠」とは、物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じ
 て美感を起こさせるものをいい、物品の「部分」のデザインも「意匠」に含まれます。また、令和2年4月から、物
 品に記録・表示されていない画像や、建築物、内装のデザインについても、新たに意匠法の保護対象となりました。

2.意匠登録の主な要件
  意匠権による保護を受けるためには、保護を受けようとする意匠について、特許庁に意匠登録出願をし、意匠登
 録を受けなければなりません。主な意匠登録の要件は、例えば次のようなものがあります。
(1)工業上利用できる意匠であること
   意匠法上の意匠であることをはじめ、どのような用途に用いられるものなのか、形状は特定できるか、視覚に
   訴えるものであるか、同一のものを複数量産し得るか、などが審査されます。
   なお、意匠法上の意匠とは、物品(物品の部分を含む。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下
   「形状等」という。)、建築物(建築物の部分を含む。)の形状等又は画像(機器の操作の用に供されるもの又
   は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、画像の部分を含む。)であって視覚を通じて
   美感を起こさせるものをいいます。
(2)今までにない新しい意匠であること(新規性)
   出願前にそれと同一又は類似の意匠が存在しないこと、すなわち、新規性を備えている必要があります。
(3)容易に創作をすることができたものでないこと(創作非容易性)
   新規な意匠であっても、当業者(その意匠が属する分野の通常の知識を有する者)であれば容易に創作できる
   意匠は、意匠登録を受けることができません。
(4)先に出願された意匠の一部と同一又は類似ではないこと
   先に出願され、登録になった意匠の一部と同一又は類似する意匠は新しい意匠を創作したものとはならないた
   め、意匠登録を受けることができません。ただし、先に出願された意匠の一部を構成する部分や部品の意匠で
   あっても、同じ人の出願であれば、先に出願された意匠の公報が発行されるまでは意匠登録を受けることがで
   きます。
(5)その他
   公序良俗を害するおそれがある意匠、物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠等、公益的
   な見地から意匠登録を受けることができないものがあります。

                                           弁理士 伊藤 孝太郎

 意匠権で保護される身の回りの製品デザインの例(出典:特許庁ホームページより)