特に最近のデジタル機器の発展は、劣化しない複製を容易にしたので、カタログ・プログラム等の発注者に著作物の著作権は自分にあると勘違いさせる原因の1つにもなっています。今回は著作権と著作物を商品に利用する場合の商品化権についてお話します。
著作権は、特許権等と異なり、著作者の人格権と経済的利益を生む財産権の2つを考える必要があります。人格権は著作者の一身専属権であり、譲渡できない権利(無断で、改変・公表・氏名表示されない権利)です。経済的利益を生む財産権には、"無断複製されない"・"インターネット等で無断で公衆に伝達されない"・"無断で翻訳等二次的著作物を作成・利用されない"権利があり、この権利は譲渡することができる権利です。このような権利以外に著作隣接権という伝達者(実演者・放送局等)の権利もあります。
ところで、発注者が、財産権としての著作権を購入したいときは著作権譲渡契約・プログラム開発契約等を締結することが必要です。その場合、その著作物を一部変更して利用することが問題なくできるよう、予め著作者人格権の主張をしない範囲を定めておくことが望ましいです。
次に、登録は著作権の発生要件では有りませんので不要です。しかし著作物を商業的に利用するために著作権を購入したときは、文化庁に著作権の移転登録をしておくと、二重譲渡の問題でトラブルことは少なくなります。また、コンピュータプログラムの場合は、先に創作したことを証明するために(財)ソフトウェア協会に登録しておくのも良いでしょう。
次に、著作物を利用する場合の1つとして、キャラクター商品のように著作物を商品の販売目的でその商品に利用したり、絵を人形の商品に変形して商品販売をする場合には、いわゆる商品化権の契約を正しく締結することが必要です。商品化権契約の場合には、著作権のみならず、商標権の帰属、意匠権の帰属についても定めましょう。必要があれば商標出願、意匠登録出願も定めておくのが望ましいです。
日本弁理士会知的財産支援センター
副センター長 弁理士 飯田 昭夫
副センター長 弁理士 飯田 昭夫