東海会の活動について

新聞掲載記事

更新:2006/06/05

弁理士の日記念イベント

 日本弁理士会では、現在の弁理士制度の礎となる特許代理業者制度が始まった(特許代理業者登録規則が施行された)明治32年7月1日を記念して、毎年7月1日を「弁理士の日」と定め、その直近の土曜日(当日が土曜日であればその日)に、全国一斉無料特許相談会を行っております。私ども日本弁理士会東海支部では、この全国規模の相談会とともに、講演会等の、支部独自のイベントを毎年行ってきております。

 今年の「弁理士の日」記念イベントは、7月1日(土)の10時より(16時まで)、名古屋商工会議所ビルの3階・第1~第4会議室にて行います。名古屋商工会議所ビルは、白川公園の北側で、地下鉄伏見駅5番出口より南へ徒歩5分です(名古屋市中区栄2-10-19)。

 今年のイベントの特徴の1つ目は、特許無料相談の各ブースに、特許電子図書館(IPDL)端末を設置することです。
 昨年までは、特許無料相談ブースで相談中に、IPDLによる先行技術検索が必要になった場合、相談者の方を別の部屋のIPDL検索コーナーにご案内し、検索結果を持ってもう一度相談ブースに戻っていただいていました。これでは、相談者の方に同じ話を2度もしていただくことになってしまいますし、部屋間の移動も面倒です。
 そこで、今年は、「ワンストップサービス」を目指すべく、IPDL検索コーナーと特許無料相談ブースとを融合させることといたしました。なお、相談の必要はないけれども、単にIPDLを操作してみたいとか、IPDLの操作法そのものを教えてほしい、というニーズも考慮し、特許無料相談ブースとは別の部屋にも、IPDL端末及び操作説明員を少数設置します。

 今年のイベントの特徴の2つ目は、弁理士及び弁理士制度をより皆様に身近に感じていただけるような企画を中心に据えたことです。
 昨年までは、「弁理士の日記念イベント」とはいいながら、実のところ、知的財産権の概説等の、一般的な内容の講演が中心であって、毎年9月から行われている「休日パテントセミナー」における講演内容との差別化が、あまりなされていませんでした。
 そこで、今年は、弁理士の普段の仕事ぶり、業務上の苦労話、弁理士の社会とのかかわり(例えばボランティア活動)等を紹介したり、ある発明が生まれた場合に特許出願することが損なのか特なのか、あるいはどのように出願するのがよいのか、等を知財専門家である弁理士の観点から解説したりするようなセミナーを企画しております。

 その目玉となるものが、「弁理士との意見交換会~なんでも聞いてみよう!話してみよう!~」の開催です。これは、昨年開催した「弁理士と語ろう!ザ・座談会~これだけは聞きたかった~」が好評であった一方、実施態様が実質的にパネルディスカッションとなってしまい、発言機会のなかった方も多かったという反省から、今年は、趣向を変えて、より「座談会」らしく、小グループに分けた形で行うことで、来場者の方と東海支部所属弁理士とのより深い相互理解・意見交換を図るよう、企画しております。

 今年のイベントの特徴の3つ目は、近頃話題となった、詰め替えインクカートリッジに関する特許訴訟の解説です。
 事件の概要は、ご存知の方も少なくないと思われますが、インク切れした純正インクカートリッジを回収してカートリッジに孔を開けてインクを充填して販売していた業者に対し、プリンタメーカーがその販売の差し止めを求めた、というものです。

 この事件は、1.第1審(東京地裁)と第2審(知財高裁)とで判断が変わったこと、2.知財高裁の大合議事件(通常は3人の裁判官で審理するところを、5人に増員して審理を行った事件)であること、3.使用済みの使い捨てカメラにフィルムを再充填して販売した業者とフィルムメーカーとの事件(「写ルンです」事件)との対比、という意味で、極めて興味深い事件です。

 今回は、この事件の解説を、知財事件を多く手がけ、東海地区では「知財に強い」と評判の弁護士・弁理士(弁理士登録もしている弁護士)が担当します。
 このように、日本弁理士会東海支部では、毎年趣向を変えて、「弁理士の日」記念イベントを行っております。7月1日(土)に、名古屋商工会議所ビルにて、多くの皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。


知的財産権制度推進委員会
委員長 弁理士 田辺 政一