日本知的財産仲裁センター(長いので「仲裁センター」といいます)は、特許、商標や著作権等知的財産に関する紛争の解決のお手伝いをするところです。日本弁護士連合会と日本弁理士会が共同で運営している、珍しい機関です。名古屋に支部がありますので、東海地方の方のご利用にも便利になっています。
(三の丸分室 052-203-1651 伏見分室 052-211-2051)
Q1具体的には何をやってるくれるの?
A1現在、(1)相談、(2)調停、(3)判定、(4)仲裁と(5)ドメインネームについての紛争を処理しています。
なお、業務内容のおおよそのところから、申し立てに必要な書式など、仲裁センタのホームページで各種の情報を提供していますから http://www.jp-adr.gr.jp へアクセス下さい。
Q2(1)の相談は弁護士会や弁理士会でやっている相談とどう違うの?費用は?
A2原則として、弁護士と弁理士が共同で相談にあたります。ですから「そういうことは詳しくないので弁護士さんに聞いてよ」とか「弁理士さんに聞いてよ」ということにならず、ワンストップで充実したアドバイスが得られます。なおその結果、(2)の調停等を申し立てようとか、訴えを提起しようということになれば、そのまま依頼することも可能です。費用は21000円です(ケースによっては、弁護士、弁理士の一方だけで相談を受けられる場合もあり、その場合の費用はこの半額です)。
Q3(2)の調停って何ですか?どういうときに利用されるのですか?
A3調停というのは、紛争の当事者双方が話し合うためのもので、調停人が間に入って当事者どうしの話をまとめるようにして、話し合い(和解)を成立させるための制度です。
同様の制度は、裁判所にもありますが、仲裁センターの調停では、知財紛争の専門的知識のある弁護士、弁理士のペアで解決を図る点や、秘密厳守の点で、一般の調停とはやや異なります。
ですから、当事者どうしでは話が平行線のままでなかなか進まないケースで、さればとて裁判を起こすのは気が重いという場合に調停が選ばれます。特に紛争になっていること自体や、調停の結論が他に知られるとまずいケースには最適です。
Q4知財センターの調停というのは実際にどのように行われるのですか?費用はどうなりますか?弁護士さんや弁理士さんに依頼する必要ありますか?
A4調停の手続きについては、次回詳しく説明させていただきます。費用については、申し立て手数料は5万円で以降期日1回ごとに5万円です。
話し合いが成立して和解契約書を作成して一件落着となったら15万円です。
なお、個人、小企業、公益団体等で、費用の支払いが困難なときは、上記の約半額になる減額制度もありますので、お問い合わせ下さい。
申し立てには、弁護士か弁理士の専門家を依頼した方がスムーズかと思いますが、ある程度知財についての知識のある方なら、本人自身で申し立てができます。
なお、会社の場合特許室員等従業員に代理してもらうことも、仲裁センターの許可があれば可能です。
調停は裁判より手続きは簡易ですし、調停人はその道のプロですから、裁判に比べて素人でも申し立てしやすいと思います。実際にも弁護士、弁理士なしでやられた事例もあります。
Q5(3)の仲裁センターの判定ってどういう制度ですか?どういう場合に利用するのですか?
A5特許、実用新案、意匠、商標等に関して、権利範囲に含まれるか否か、権利の有効性はどうか等の点について、公正な第三者である判定人の意見を求める制度です。
例えばこれらの紛争に関して、こちら側は権利範囲に含まれないと考えているのに相手側では含まれるから損害賠償を支払えと主張している場合に、第三者である仲裁センターに判断してもらったけれども、仲裁センターでもこういう理由で含まれないと判断しているよ、といって相手を説得する材料に使う場合など色々な利用方法があります。
調停で和解が成立した場合に比べ法的拘束力は少し弱いですが、相手側としても、第三者機関から権利範囲に含まれないという判断が出ている以上、もし裁判を提起しても勝ち目は高くないと考えるでしょうから、紛争解決の有力な材料になる訳です。
ケースによっては、取引先から、取り扱い商品について特許等の侵害がないかどうかについて、第三者の判断を示すことが要求される場合もあり、そのような場合に利用されるのも便利かと思います。
なお、調停とは異なり、相手側に知らせないで意見を求める単独判定が可能ですから、意見を求めたところ、かえって自己の側に不利な判断が出た場合には、相手に知られないままで終わりますから、裁判の場合のように、勝てばいいけど負ければかえってマイナスイメージが残るという問題がありません。
Q6仲裁センターの判定の費用や所用期間はどれぐらいでしょう?
A6単独判定の場合、費用は35万円程度で、所用期間は3ヶ月程度です。なお費用については、調停同様、減額制度がありますので、お問い合わせ下さい。
Q7(4)ドメインネームのどういう紛争を扱っているのですか?
A7有名な名称であって本家の方でドメインネームとして登録していないことを幸いとして、本家本元ではないのにそのドメインネームを登録する人がいます。
そういう困ったケースでは、不当なドメインネームの抹消、本家への移転といった手続きを取り扱っています。それに関する申立や裁定判断など、すべてインターネットで行っています。
(次回には、最も利用の多い、調停手続きやその利用法について説明させていただきます)
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更新:2005/11/29
日本知的財産仲裁センターの役割
弁理士・弁護士 内藤 義三