「弁理士は、知的財産権を扱う仕事です。」
こう言うとよく、「知的財産権って何ですか?」と聞かれます。そこで今日は、知的財産権とは何か、という話
をします。
「財産」というと、パッと頭に思い浮かぶのは、土地や建物などの不動産、自動車や貴金属などの動産がありま
すが、これらはいずれも形のある物です。法律用語では「有体物」と言い、有体物に対する権利を「所有権」と言
います。
これに対して、「知的財産権」は、形のない物、つまり「無体物」を対象とします。そして、形のない物の中で
も、「人間が頭脳によって生み出した有用な情報」だけが、「知的財産」とされ、これに対する権利を「知的財産
権」と呼ぶのです。
知的財産権の例を見てみましょう。
「特許権」、これは、人間が頭脳によって生み出した技術的なアイデア、つまり「発明」を、知的財産とするも
のです。
「著作権」、これは、人間が自分の考えや気持ちを表した「表現物」(文章、曲、絵画、プログラムなど)を、
知的財産とするものです。
知的財産権には、他にも、単純な発明を対象とする「実用新案権」、物品のデザインを対象とする「意匠権」、
ロゴやマークなどを対象とする「商標権」などがあります。
では、なぜ、知的財産権というものが必要なのでしょうか?
たとえば、発明には、アイデアを練る時間や、実験のコストなどがかかります。せっかく時間やコストをかけて
素晴らしい発明をしても、他の人がすぐに真似をして製品を売ってしまい、自分は発明のコストを回収できないと
すればどうでしょうか。発明のためにコストを費やすことが馬鹿らしくなるでしょう。このような社会では、技術
は進歩しません。
そこで、発明をした者に「知的財産権」という権利を与え、独占的に利益を得られるようにします。そうするこ
とで、発明の意欲を高め、技術の進歩を促すのです。
つまり、知的財産権は、各国の政府が、技術を進歩させて産業を発達させたり、文化を発展させるという政策的
な理由により、発明者や創作者等に特権を与えるものだといえるのです。
知的財産権の特徴として、特許庁への出願・登録制度があります。知的財産権のうち、特許権、実用新案権、意
匠権、商標権などは、特許庁に出願をし、登録されてはじめて権利として認められます。他方、著作権は、出願や
登録をしなくても、権利が発生します。
そして、知的財産権が発生すると、無断でその知的財産を使って生産や販売などをしている者に対して、止める
ように請求したり(差止請求)、損害賠償の請求ができるようになります。
知的財産権のこと、何となくお分かりいただけたでしょうか。実は、世の中は知的財産であふれています。皆さ
んも、ぜひ身近な知的財産を見つけてみてください。
弁護士・弁理士 加藤 淳也
こう言うとよく、「知的財産権って何ですか?」と聞かれます。そこで今日は、知的財産権とは何か、という話
をします。
「財産」というと、パッと頭に思い浮かぶのは、土地や建物などの不動産、自動車や貴金属などの動産がありま
すが、これらはいずれも形のある物です。法律用語では「有体物」と言い、有体物に対する権利を「所有権」と言
います。
これに対して、「知的財産権」は、形のない物、つまり「無体物」を対象とします。そして、形のない物の中で
も、「人間が頭脳によって生み出した有用な情報」だけが、「知的財産」とされ、これに対する権利を「知的財産
権」と呼ぶのです。
知的財産権の例を見てみましょう。
「特許権」、これは、人間が頭脳によって生み出した技術的なアイデア、つまり「発明」を、知的財産とするも
のです。
「著作権」、これは、人間が自分の考えや気持ちを表した「表現物」(文章、曲、絵画、プログラムなど)を、
知的財産とするものです。
知的財産権には、他にも、単純な発明を対象とする「実用新案権」、物品のデザインを対象とする「意匠権」、
ロゴやマークなどを対象とする「商標権」などがあります。
では、なぜ、知的財産権というものが必要なのでしょうか?
たとえば、発明には、アイデアを練る時間や、実験のコストなどがかかります。せっかく時間やコストをかけて
素晴らしい発明をしても、他の人がすぐに真似をして製品を売ってしまい、自分は発明のコストを回収できないと
すればどうでしょうか。発明のためにコストを費やすことが馬鹿らしくなるでしょう。このような社会では、技術
は進歩しません。
そこで、発明をした者に「知的財産権」という権利を与え、独占的に利益を得られるようにします。そうするこ
とで、発明の意欲を高め、技術の進歩を促すのです。
つまり、知的財産権は、各国の政府が、技術を進歩させて産業を発達させたり、文化を発展させるという政策的
な理由により、発明者や創作者等に特権を与えるものだといえるのです。
知的財産権の特徴として、特許庁への出願・登録制度があります。知的財産権のうち、特許権、実用新案権、意
匠権、商標権などは、特許庁に出願をし、登録されてはじめて権利として認められます。他方、著作権は、出願や
登録をしなくても、権利が発生します。
そして、知的財産権が発生すると、無断でその知的財産を使って生産や販売などをしている者に対して、止める
ように請求したり(差止請求)、損害賠償の請求ができるようになります。
知的財産権のこと、何となくお分かりいただけたでしょうか。実は、世の中は知的財産であふれています。皆さ
んも、ぜひ身近な知的財産を見つけてみてください。
弁護士・弁理士 加藤 淳也