4月1日に日本弁理士会東海支部の支部長に就任致しました藤谷修でございます。日本弁理士会東海支部の会員が執筆しているこの「知財あれこれ」は、平成15年の1月から連載させていただき、中部経済新聞社様にまずは感謝申し上げます。この間、読者の皆様方に、知的財産に関して、分かり易く、正確な理解をしていただくことを目標にしてきましたが、本年度から、さらに、読み易く、面白さを加味して、内容を充実させて行きたいと考えています。
さて、ご承知のように、国民経済の健全な発展及び豊かな文化の創造を標榜して始まった知的財産の創造、保護および活用に関する推進計画は、本年度は3年目に入ります。この推進計画が目指すところは、創造力の豊かな人材の育成、その創造力が十分に発揮できる環境の整備、創造力の発揮の結果生じた知的財産の迅速且つ適正な保護、その保護された知的財産の経済社会における活用、これらを通じて、科学技術の恩恵に預かった豊かな社会を形成するところにあります。今、そのための環境や制度の整備が行われています。
そして、この基本理念を実現するために、国、地方公共団体、大学、事業者らの責務が基本法に規定されています。愛知県は、これを受けて、平成16年3月に、知的財産を大切にする風土づくり・基盤づくり、知的財産を活用したたくましい中小企業づくり、産・学・行政連携による知的財産の創出を3大基本方策とした「あいち的財産創造プラン」を発表すると共に8月1日を「愛知の発明の日」に制定し、着々と実現に向けて環境や制度の整備が行われております。
このような流れにあって、日本弁理士会東海支部は、引き続き、知的財産推進計画において社会から要請されている知的財産の専門家としての責務を十分に果たして行きたいと考えております。
第1には、官公庁などの公的機関が推進する知的財産推進計画の実施を支援致します。既に、これらの機関が行う知的財産を尊重する社会を養成するための啓蒙活動として実施される講演会などの講師派遣や、知的財産に関する相談員の派遣を行ってきましたが、これをさらに充実させます。知的財産による産業の活性化は、各地域毎に必要となりますので、本年度は、特に、東海支部の管轄内である静岡県、三重県、岐阜県、長野県に対しても、要請により対応したいと考えております。また、中部経済産業局が取り組む予定の「地域知的財産推進計画」が策定されますと、弁理士会としましても、各県対応が必要になると考えています。これらの各県単位での支援活動を行うために、各県に、窓口としての県委員会を設置致します。
第2には、創造力豊かな人材の育成や知的財産を尊重する精神の涵養を目的として、教育機関が実施する知的財産教育の支援を、さらに充実させ、できれば愛知県外にも活動の範囲を広げたいと考えております。具体的には、小・中・高校において、知的財産に関する授業を行い、科学することの楽しさと共に知的財産の創造と尊重の大切さを教えます。また、大学は知的財産の創造の源泉ですので、大学では、如何にこれらを適格に保護して行くべきかの戦略を含んだ知的財産制度の活用に対する研修を、教職員、学生に対して行います。
第3には、主として、愛知県において、市民講座としての「休日パテントセミナー」を継続して開催していますが、受講者のレベルに合致する様に、これをさらに充実させたいと思います。特に、本年度は、開催回数は少ないかも知れませんが、各県においても、この種の啓蒙活動を目的とするパテントセミナーを開催し、弁理士会を各県においてアピールして行きたいと思います。
第4には、知的財産推進計画の最終目標は、日本の産業の再生にありますが、そのためには、知的財産を活用した中小・ベンチャー企業の活性化が必須となります。そこで、東海支部も、知的財産の専門家として、できることは何かを考え、中小・ベンチャー企業に対する支援を検討したいと考えています。
第5には、東海支部では、最近、会員が、毎年50名弱づつ増加していますが、これらの会員が、上記の弁理士会の社会貢献活動に積極的に参加するように意識の高揚を図ると共に、若い会員に対しても東海支部が魅力ある団体となるように努めたいと思います。
以上、東海支部は、弁理士の社会貢献活動の重要性を認識しつつ、地域に根ざした知的財産に関する推進活動を実施してまいりますので、東海支部の活動にご理解を頂くと共にお気軽にご相談下さい。
支部長 弁理士 藤谷 修