他人が営業する店舗の外観(外装、店内構造及び内装)によく似た店舗を作って同種の営業をすることは、不正
競争防止法によって禁止される場合があります。他人の店舗の外観がその地域に広く知れわたっていて、新店舗の
外観がこれと似ているために、利用者が、その他人と同じ経営だと勘違いする可能性が高い場合(「周知の商品等
表示混同行為」と呼ばれます。)がこれに当ります。商品等表示とありますが、店舗の外観も、客観的に他の同種
店舗の外観と異なるはっきりした特徴があって、その外観が特定の経営者による相当の期間の使用や、その外観を
含む営業に関する宣伝や報道などによって、利用者からその店舗の営業がその経営者を表示するものとして広く認
識されるようになった場合には、同法二条一項一号(注)にいう「商品等表示」に該当します。そして前記の周知
の商品等表示混同行為と認められる場合には、営業上の利益を侵害される者は侵害の差止め(同法三条一項)や損
害賠償請求ができます。
昨年の十二月ですからご存じの方も多いと思いますが、和歌山市において、名古屋から全国に展開しているコメ
ダ珈琲店の郊外型店舗の外観によく似た外観の店舗でマサキ珈琲店を経営する業者に対し、東京地裁が周知の商品
等表示混同行為に当るとして、店舗の使用の禁止を命じる決定が出されました。以前、和歌山の業者はコメダに対
してフランチャイズ契約を求めましたが、コメダは和歌山県下では別の業者とフランチャイズ契約をしているから
とこれを断りました。しかし、業者はコメダ珈琲店の郊外型店舗の外観(ウェブで検索してください。)の特徴と
よく似た外装、店内構造及び内装の店舗(写真参照)を作って珈琲店の営業を始めたので、コメダは業者に対して
営業停止を申入れました。業者が応じなかったため、店舗使用の差止と損害賠償請求を求めて訴訟を提起するとと
もに、判決前に至急店舗使用の差止をする必要があるとして仮処分の申請をしました。根拠とするのは、コメダ珈
琲店の郊外型店舗の外観は他の喫茶店にない特徴があって、そのことは和歌山県下で市民によく知られており、業
者の新店舗の外観はこれによく似ているのでコメダ珈琲店の営業と混同するおそれがあるから同法二条一項一号に
該当するというものでした。東京地裁はこの仮処分申請について、コメダの言い分をほぼ認めて和歌山の業者に対
し店舗の使用禁止の決定を出しました。これを受けて和歌山の業者はすぐに店舗を改修して営業を再開しました
(マサキ珈琲店のホームページをご覧ください。)。継続していた訴訟は結局七月五日和解(内容は非公開)が成
立して終了しました。
商品の表示にせよ店舗の外観にせよ、他人の物を真似ることは不正競争防止法によって製造販売などの差止めや
損害賠償請求を受けるおそれがありますので避けるのが無難です。
(注)他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営
業を表示するものをいう。〈中略〉)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商
品等表示を使用し〈中略〉他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
※写真はいずれも裁判所ホームページから
弁護士・弁理士 相羽 洋一
競争防止法によって禁止される場合があります。他人の店舗の外観がその地域に広く知れわたっていて、新店舗の
外観がこれと似ているために、利用者が、その他人と同じ経営だと勘違いする可能性が高い場合(「周知の商品等
表示混同行為」と呼ばれます。)がこれに当ります。商品等表示とありますが、店舗の外観も、客観的に他の同種
店舗の外観と異なるはっきりした特徴があって、その外観が特定の経営者による相当の期間の使用や、その外観を
含む営業に関する宣伝や報道などによって、利用者からその店舗の営業がその経営者を表示するものとして広く認
識されるようになった場合には、同法二条一項一号(注)にいう「商品等表示」に該当します。そして前記の周知
の商品等表示混同行為と認められる場合には、営業上の利益を侵害される者は侵害の差止め(同法三条一項)や損
害賠償請求ができます。
昨年の十二月ですからご存じの方も多いと思いますが、和歌山市において、名古屋から全国に展開しているコメ
ダ珈琲店の郊外型店舗の外観によく似た外観の店舗でマサキ珈琲店を経営する業者に対し、東京地裁が周知の商品
等表示混同行為に当るとして、店舗の使用の禁止を命じる決定が出されました。以前、和歌山の業者はコメダに対
してフランチャイズ契約を求めましたが、コメダは和歌山県下では別の業者とフランチャイズ契約をしているから
とこれを断りました。しかし、業者はコメダ珈琲店の郊外型店舗の外観(ウェブで検索してください。)の特徴と
よく似た外装、店内構造及び内装の店舗(写真参照)を作って珈琲店の営業を始めたので、コメダは業者に対して
営業停止を申入れました。業者が応じなかったため、店舗使用の差止と損害賠償請求を求めて訴訟を提起するとと
もに、判決前に至急店舗使用の差止をする必要があるとして仮処分の申請をしました。根拠とするのは、コメダ珈
琲店の郊外型店舗の外観は他の喫茶店にない特徴があって、そのことは和歌山県下で市民によく知られており、業
者の新店舗の外観はこれによく似ているのでコメダ珈琲店の営業と混同するおそれがあるから同法二条一項一号に
該当するというものでした。東京地裁はこの仮処分申請について、コメダの言い分をほぼ認めて和歌山の業者に対
し店舗の使用禁止の決定を出しました。これを受けて和歌山の業者はすぐに店舗を改修して営業を再開しました
(マサキ珈琲店のホームページをご覧ください。)。継続していた訴訟は結局七月五日和解(内容は非公開)が成
立して終了しました。
商品の表示にせよ店舗の外観にせよ、他人の物を真似ることは不正競争防止法によって製造販売などの差止めや
損害賠償請求を受けるおそれがありますので避けるのが無難です。
(注)他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営
業を表示するものをいう。〈中略〉)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商
品等表示を使用し〈中略〉他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
※写真はいずれも裁判所ホームページから
弁護士・弁理士 相羽 洋一