東海会の活動について

新聞掲載記事

更新:2017/06/30

こんなに使える!弁理士知財キャラバン

   事業に大切なものには、目に見えないものが結構あります。市場動向、顧客価値、顧客からの信頼、人材など
  も含めた経営資源、社風など。それらをいかに「見える化」し、事業に活用できるかが成功の秘訣なのかも知れ
  ません。
   知的財産もその一つです。ところが、「知的財産」となると、「当社は関係ない」と決めつけてしまう企業も
  少なからずあるようです。特許、意匠、商標、著作権など、知的財産と言っても多様です。それぞれの制度内容
  も、なじみのない部分も多くあります。簡単に「関係ない」とは言い切れないはずです。専門家のアドバイスを
  受けてみて損はありません。「知的財産活動を、どのように進めてよいか分からない」という場合も同じです。
   日本弁理士会の「弁理士知財キャラバン」は、そういった企業にうってつけの事業です。弁理士が3回まで企
  業を訪問し、知的財産の活用を含む経営のアドバイスを行うのです。しかも無料で。特許相談のように、申込の
  時点で知的財産についての疑問点や問題点が明らかになっている必要はありません。
   今までの事例を少し紹介しましょう。
   A社は、社長のアイディアで新製品を開発しました。新製品の売り込みを開始すれば、他社にアイディアを盗
  まれてしまうおそれもありますが、特許が取得できるのか、また費用をかける価値があるのか、判断に困ってい
  ました。A社に対して、弁理士知財キャラバンのメンバーは、そのアイディアについて、事業性の調査、価値や
  特許性の評価を踏まえて、特許出願した上で売り込みを行う事業戦略をアドバイスいたしました。
   B社の社長は、自身のアイディアを大手企業に数百万円で売却したいと考えていました。しかし、弁理士知財
  キャラバンのメンバーが調査したところ、そのアイディアを活用した事業は将来性があり、社長が想定していた
  価値の5~10倍の価値が見込めそうだったのです。そのアイディアについて特許を取得することは困難と思わ
  れましたが、メンバーは、アイディアを盗まれてしまうことを回避しつつ大手企業に売り込む戦略を提案いたし
  ました。
   その他に、知的財産について今までほとんど意識していなかった企業に対して、競合他社の出願状況を調査し
  て現状を認識してもらうとともに、開発中の製品を対象にして、どのような知的財産が眠っているのかをアドバ
  イスすることで、知的財産に対する社内の意識高揚を行ったこともあります。
   「弁理士知財キャラバン」は、日本弁理士会のホームページからお申し込み可能です。知的財産を自社のため
  にどのように活用できるのか?とにかく弁理士の意見を聞いてみてはいかがでしょうか?

                                       弁理士・弁護士 加藤 光宏