東海会の活動について

新聞掲載記事

更新:2017/05/31

商標先取りから身を守ろう

   昨秋以降、ペンにパイナップルとアップルとを突き刺すという内容の歌が、インターネットを通じて、世界的
  に流行しました。その楽曲のタイトルの略称『PPAP』について、本人よりも先に、他人が、商標登録出願を
  したということで、ニュースにもなりました。この件については、色々な問題が指摘されていますが、自分が使
  用している商標を他人が先に出願し、商標権を得ること自体は登録要件さえ満たせば、問題ありません。そのた
  め、自分の商標が、他人に先取りされるような事態は、『PPAP』に限ったことではなく、明日は我が身、と
  心得ておくことが肝要でしょう。
   それでは、このような事態に陥らないようにするためには、どうしたらよいのでしょうか?それは、当然です
  が、他人より先に、商標登録出願をすることです。商標登録は、早い者勝ちなので、他人より先に、出願してし
  まうのが、最も有効な対策になるのです。『新しい商品を発売したり、新しい事業を始めたりする場合は、先ず
  商標登録出願をする』という、業務のルーティンを作っておけば、他人より早く出願することができると思いま
  す。
   そうは言っても、日々の業務に追われていると、商標登録出願のことを後回しにしてしまい、うっかり失念し
  てしまうこともあるかと思います。そんな場合に、他人が自分より先に商標登録出願をしてしまうこともあるで
  しょう。今回のPPAPの一件は、このようなケースなのだと思います。そんな場合は、諦めて相手から商標を
  使用するライセンスを受けるしかないのでしょうか?
   そんなことはありません。他人に先を越されたからといって、すぐに諦めてしまう必要はありません。そんな
  ときは、是非、弁理士にご相談ください。弁理士に相談すれば、その状況に応じて、相談者に合った的確なアド
  バイスを差し上げることができます。例えば、『相手の商標権を侵害していないから、心配いりませんよ』とか、
  『相手の商標は、間違って登録されたものだから、無効審判をしましょう』とか、色々な解決手段を提案するこ
  とができます。
   このように、色々な解決手段があるので、相手からライセンスを受けるというのは、必ずしもベストな解決策
  とは限りません。ベストな解決策を、私たち弁理士と一緒に考えましょう。
   ちなみに、特許庁は、『自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)』という注意喚起のコ
  メントを発表しています。インターネットの検索サイトで、『自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様
  へ(ご注意)』と検索すると、特許庁のコメントを読むことができます。興味のある方は、よろしければ、一度、
  ご覧下さい。

                                           弁理士 名倉 洋輔