日本弁理士会東海支部は、毎年1月~2月くらいに、「支部開設日記念知的財産セミナー」を開催しております。
本年度は、支部開設20周年を記念して、平成29年1月27日に、「知的財産で育て!東海エリアの企業」をテー
マとして、知的財産セミナー2017を開催しました。その内容をご紹介いたします。
1.第1部:基調講演「東海エリアの中小・中堅企業の生きる途を考える。世界に向けて羽ばたくために…」
第1部では、一般社団法人中部経済連合会 審議役・調査部長の川瀬康博様より、基調講演をいただきました。
まず、日本経済を支える中小企業が元気をなくしており、理由として「ものづくり産業の国際競争力の低下」と
「サービス産業の生産性の低下」を挙げられました。その上で、元気を取り戻すための目標として、ものづくり
産業に対しては、海外で投資し収益の一部を国内に還流させることで、国際競争力を取り戻すこと、サービス産
業に対しては、経営レベルでの付加価値生産性の向上を目指すことが示されました。これらの中で、知的財産戦
略の重要性(オープン&クローズ戦略の推進や、無形資産への積極投資など)についてもお話いただきました。
また、士業による商工業者の積極的な支援の必要性についてもお話いただき、私ども弁理士に対する期待もお寄
せくださいました。最後に、日本の状況に悲観する必要はなく、まずは身近なところから生産性を上げていくこ
とが大事であるとの提言をいただきました。どの聴講者にとっても、今後のヒントが得られた有意義な講演でし
た。
2.第2部 知的財産の活用事例
第2部では、今回のセミナーの趣旨にご賛同いただきました企業3社における知的財産の具体的活用事例の紹
介があり、いずれも興味深い話を聴くことができました。
(1)ファインバブル、シバタエンジンの開発
まず、株式会社シバタ 代表取締役社長の柴田芳樹様より、ファインバブル、シバタエンジンの開発について
ご紹介いただきました。シバタエンジンは、水道水を1回通すだけで十分な量のナノバブル(直径が1μm以下
の気泡)を発生できる装置です。知的財産権の現状分析を行うことで、シバタエンジンの技術内容及び競合他社
に対する自社の強みを客観的に把握できたということです。これを背景に、大手メーカに採用されると共に、種
々の展開への試みを行っているとのことでした。
(2)私の未来の”カタチ”と知的財産権
続いて、東海理研株式会社 代表取締役社長の佐藤明広様より、開発したオフィス内の物理セキュリティ強化
技術や、データセンターの無人化システムについて、知的財産権に対する取り組みと共にご紹介いただきました。
知的財産権については、商品開発のリスクを低減するために、自社他社の状況把握を行い、自社の強みを把握で
きたとのことです。また、自社が持つ知的財産権の棚卸を行い、売上に貢献している権利と長期滞留している権
利とを区別することで、効率的な活用ができたとのことでした。
(3)ショップジャパンの知財活動~シリーズ累計販売台数300万台突破のワンダーコアスマートの取組事例~
最後に、株式会社オークローンマーケティング 代表取締役社長のハリー・A・ヒル様より、ショップジャパ
ンの知財活動として、ワンダーコアスマートの取組事例についてご紹介いただきました。お客様がショップジャ
パンの正規品を安心して購入し、お使いいただける環境の構築を目的として、日ごろから積極的に知財活動に取
り組んでおられ、商標権を譲渡により取得したり、意匠権の専用実施権を獲得したりしているとのことでした。
模倣品に対しては、意匠権侵害の刑事事件として立件されたとのことです。
知的財産権制度推進委員会
弁理士 岡田 伸一郎
本年度は、支部開設20周年を記念して、平成29年1月27日に、「知的財産で育て!東海エリアの企業」をテー
マとして、知的財産セミナー2017を開催しました。その内容をご紹介いたします。
1.第1部:基調講演「東海エリアの中小・中堅企業の生きる途を考える。世界に向けて羽ばたくために…」
第1部では、一般社団法人中部経済連合会 審議役・調査部長の川瀬康博様より、基調講演をいただきました。
まず、日本経済を支える中小企業が元気をなくしており、理由として「ものづくり産業の国際競争力の低下」と
「サービス産業の生産性の低下」を挙げられました。その上で、元気を取り戻すための目標として、ものづくり
産業に対しては、海外で投資し収益の一部を国内に還流させることで、国際競争力を取り戻すこと、サービス産
業に対しては、経営レベルでの付加価値生産性の向上を目指すことが示されました。これらの中で、知的財産戦
略の重要性(オープン&クローズ戦略の推進や、無形資産への積極投資など)についてもお話いただきました。
また、士業による商工業者の積極的な支援の必要性についてもお話いただき、私ども弁理士に対する期待もお寄
せくださいました。最後に、日本の状況に悲観する必要はなく、まずは身近なところから生産性を上げていくこ
とが大事であるとの提言をいただきました。どの聴講者にとっても、今後のヒントが得られた有意義な講演でし
た。
2.第2部 知的財産の活用事例
第2部では、今回のセミナーの趣旨にご賛同いただきました企業3社における知的財産の具体的活用事例の紹
介があり、いずれも興味深い話を聴くことができました。
(1)ファインバブル、シバタエンジンの開発
まず、株式会社シバタ 代表取締役社長の柴田芳樹様より、ファインバブル、シバタエンジンの開発について
ご紹介いただきました。シバタエンジンは、水道水を1回通すだけで十分な量のナノバブル(直径が1μm以下
の気泡)を発生できる装置です。知的財産権の現状分析を行うことで、シバタエンジンの技術内容及び競合他社
に対する自社の強みを客観的に把握できたということです。これを背景に、大手メーカに採用されると共に、種
々の展開への試みを行っているとのことでした。
(2)私の未来の”カタチ”と知的財産権
続いて、東海理研株式会社 代表取締役社長の佐藤明広様より、開発したオフィス内の物理セキュリティ強化
技術や、データセンターの無人化システムについて、知的財産権に対する取り組みと共にご紹介いただきました。
知的財産権については、商品開発のリスクを低減するために、自社他社の状況把握を行い、自社の強みを把握で
きたとのことです。また、自社が持つ知的財産権の棚卸を行い、売上に貢献している権利と長期滞留している権
利とを区別することで、効率的な活用ができたとのことでした。
(3)ショップジャパンの知財活動~シリーズ累計販売台数300万台突破のワンダーコアスマートの取組事例~
最後に、株式会社オークローンマーケティング 代表取締役社長のハリー・A・ヒル様より、ショップジャパ
ンの知財活動として、ワンダーコアスマートの取組事例についてご紹介いただきました。お客様がショップジャ
パンの正規品を安心して購入し、お使いいただける環境の構築を目的として、日ごろから積極的に知財活動に取
り組んでおられ、商標権を譲渡により取得したり、意匠権の専用実施権を獲得したりしているとのことでした。
模倣品に対しては、意匠権侵害の刑事事件として立件されたとのことです。
知的財産権制度推進委員会
弁理士 岡田 伸一郎