東海会の活動について

新聞掲載記事

更新:2016/12/28

特許調査していますか?~調査はタイミングも重要~

   新製品を開発したり、製品に改良を加えたりして発売する前に、他社の特許権を侵害していないか調査してい
  ますか。特許調査は、実施するタイミングも重要です。
   開発、改良が進み、発売まであと少しという段階で特許調査を行い、新製品が他社の権利を侵害する可能性が
  出てきたとします。この場合には、他社の権利を侵害しないようにするために、大幅な設計変更の必要が生ずる
  ことがありますし、発売の取りやめを検討する必要が生ずることもあります。
   したがいまして、開発、改良の初期~中期の段階、例えば、大まかな構想を練り上げた段階や、試作品を製作
  した段階などで、特許調査を行っておくことが好ましいでしょう。開発が進み、当所の想定とは異なるものにシ
  フトした場合にも、追加で調査を行うことも好ましいです。こうすることで、他社の特許権を侵害しないように
  開発を進めることができます。
   また、開発段階の製品と似たような特許掲載公報や公開特許公報が見つかり、かつ、その特許掲載公報にかか
  る特許権がすでに消滅していたり、公開特許公報にかかる出願の拒絶査定が確定していたりする場合があります。
  こういった場合には、その特許掲載公報や公開特許公報に記載されている内容を、新製品の開発の参考にしたり、
  一部ないしは全部を新製品に取り入れたりすることもできる場合もあります。
   特許調査を行ううえで有用な無料データベースとして、独立行政法人工業所有権情報・研修館により運営され
  ているJ-PlatPartがあります。社内で特許調査を行う体制を築きたいのでしたら、工業所有権情報・研修館主
  催により中小企業向けの研修が開催されますので、参加してみてはいかがでしょうか。
   ただし、特許調査を行ううえでは、技術に関する知識や経験などよりも、特許調査に関する知識や経験などが
  必要になります。また、特許掲載公報や公開特許公報には、特許独特の言い回しがある場合が多く、侵害しそう
  であるか否かの判断が難しいことが多々あります。すなわち、開発中の製品が権利範囲に含まれないように見え
  て、実は権利範囲に含まれるという場合もあれば、その逆もあります。さらに、特許調査の結果、似たような特
  許掲載公報や公開特許公報が見つからなかった場合には、新製品に関連する特許を取得できる可能性が出てきま
  す。
   以上のように、特許調査は新製品を開発していくうえで非常に重要な要素となりますので、特許調査の必要性
  を感じましたら、弁理士までご相談ください。

                                            弁理士 加藤 肇