特許出願人及びその代理人が、特許庁での審査を経て折角特許査定になったのに、その取消を求めるという珍
しい事件がありました(「平成26年(行コ)10004」等参照)。
経緯からお話しますと、審査では審査官と書面でやりとりを行い、申請した特許の権利範囲を修正(補正)し
て権利化を図るのですが、代理人が誤って、審査官と合意した権利範囲よりも狭くなるように補正内容を表す書
面を提出してしまったのです。そして、審査官はそのことを見過ごし、その権利内容で特許査定をしてしまった
のです。
そこで、特許出願人及びその代理人は、特許査定を取り消し、もう一度特許を取り直そうと考えたのです。特
許出願人らは、まず、東京地裁に訴えました。東京地裁では、審査官には、補正内容が特許出願人の真意に沿う
ものであるかどうかを確認する義務があり、本件では審査官はその義務を怠ったため特許査定には重大な瑕疵が
あるとして、特許査定が取り消されるべきであると判示されました。しかしながら、続く知財高裁では、審査官
は申請された発明が特許されるために必要な条件を満たすかどうかを判断すれば足り、申請内容が出願人らの真
意に沿うかどうかを確認すべき義務はないとして、東京地裁の判決が覆され、特許査定が維持されました。一度
特許査定されたものは取消が効かないというお話でした。
弁理士 飯森 悠樹
しい事件がありました(「平成26年(行コ)10004」等参照)。
経緯からお話しますと、審査では審査官と書面でやりとりを行い、申請した特許の権利範囲を修正(補正)し
て権利化を図るのですが、代理人が誤って、審査官と合意した権利範囲よりも狭くなるように補正内容を表す書
面を提出してしまったのです。そして、審査官はそのことを見過ごし、その権利内容で特許査定をしてしまった
のです。
そこで、特許出願人及びその代理人は、特許査定を取り消し、もう一度特許を取り直そうと考えたのです。特
許出願人らは、まず、東京地裁に訴えました。東京地裁では、審査官には、補正内容が特許出願人の真意に沿う
ものであるかどうかを確認する義務があり、本件では審査官はその義務を怠ったため特許査定には重大な瑕疵が
あるとして、特許査定が取り消されるべきであると判示されました。しかしながら、続く知財高裁では、審査官
は申請された発明が特許されるために必要な条件を満たすかどうかを判断すれば足り、申請内容が出願人らの真
意に沿うかどうかを確認すべき義務はないとして、東京地裁の判決が覆され、特許査定が維持されました。一度
特許査定されたものは取消が効かないというお話でした。
弁理士 飯森 悠樹