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新聞掲載記事

更新:2016/10/31

新しい商標の登録状況

   「音商標」や「色彩のみからなる商標(色商標)」などの「新しいタイプの商標(新商標)」が登録できるよ
  うに商標法が改正(2015年4月1日施行)されてから1年半が経過しました。
   そこで、これらの新商標の出願状況や登録状況について、特許庁のデータベースで確認できる範囲で報告しま
  す。

 新商標の出願・登録状況
出願中 登録 合計
音商標:
394
54
448
色商標
(色彩のみからなる商標):
476
0
476
動き商標:
52
46
98
ホログラム:
14
2
16
位置商標:
297
11
308

   ※この数字は、特許庁のデータベース(特許情報プラットフォーム~J-Plat Pat~)で平成28年9月9日に検
    索した結果を表示しています。
   ※出願に関する数字は、途中で放棄された出願や拒絶が確定した案件を含めていません。
   ※登録に関する数字は、途中で商標権が放棄された案件を含めていません。

   音商標や色彩のみからなる商標(色商標)は、合わせて900件以上も出願されていて、保護対象としてニー
  ズが高いのが分かります。このうち、音商標は、現時点で、54件が登録されていて、東海地方で馴染みのある
  企業さんの音商標として、「たかすクリニック」(登録第5836221号)や「スジャータースジャーター」
  (登録第5872017号)等も登録されています。
   一方で、色彩のみからなる商標(色商標)は、5種類の新商標の中で出願件数が一番多い(476件)にも関
  わらず、現時点で1件も登録されていません。
   色商標とは、単色又は複数の色彩の組み合わせのみからなる商標であり、図形や文字に色彩が施されたものは
  含まれません。
   つまり、色商標に商標権が付与されれば、原則として、その指定した商品やサービスについて、権利者がその
  登録した色を独占して使用できるようになります。
   そのため、色商標が安易に登録されてしまうと、その指定した商品やサービスについて権利者以外の企業さん
  がその色を使用することに制限がかかり、経済活動へ大いに影響があるでしょう。
   ですから、「色彩のみからなる商標(色商標)」を登録することは、相当難しそうだということがお分かりい
  ただけたと思います。その色を見ただけでその会社の商品やサービスに関係するものと理解させる程にその色が
  使用されていて初めて、登録の可能性が出てくるでしょう。
   「色彩のみからなる商標」の登録第1号は、いつごろ、どんな商標に付与されるのでしょうか?その誕生を心
  待ちにしながら、本日のコラムを終了します。

                                           弁理士 黒瀬 勇人

登録第5872017号 登録第5872017号