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新聞掲載記事

更新:2016/09/30

調停で紛争を円満解決~調停をイメージしてみよう~

 1.裁判の他に、調停もあります!
   例えば、国内外の権利侵害紛争、職務発明や営業秘密などが絡んだ内部紛争、共同研究・開発先との発明貢献
  度を巡る紛争など、知的財産に関する紛争は意外に身近です。かかる紛争の解決手段として「裁判」があります。
   しかし、裁判は、当事者関係を悪化させたり、会社のイメージダウンとなったりする恐れがあり、利用に躊躇
  することがあります。
   そこで、紛争解決手段の一つに、日本知的財産仲裁センター(以下「センター」という)の「調停」を加えて
  下さい。「調停」は、調停人が当事者の主張や証拠をもとに解決案を示し、当事者が解決案に合意することで紛
  争を解決するものであり、円満に紛争を解決できます。

 2.調停の手続き
 (1)記事のフローに示すように、申立人は、センター名古屋支部<三の丸分室(愛知県弁護士会)TEL052-203
   -1651、伏見分室(日本弁理士会東海支部) TEL052-211-2051>に、手数料(約5万円)を添えて申立書を提出
   し、調停を申し立てます。申立書の記載は訴状ほど厳格な記載を要求されません。
 (2)センターは、受理した申立書を被申立人に送付します。被申立人は、申立書の内容を見て、話し合いに参加
   する(応諾する)か否か決めて回答します。不応諾の場合、調停の手続きが終了し、手数料の一部(約3万円)
   が申立人に返金されます。
 (3)応諾の場合には、センターが原則2名の調停人を調停人等候補者名簿から選任します。調停人等候補者名簿
   は、知的財産に精通した弁護士、弁理士、学識経験者で構成されています。よって、当事者は公平で権威のあ
   る判断を仰げます。
 (4)当事者と調停人は指定された期日に集まって話し合います(1~3回程度)。申立人と被申立人は、期日毎
   に手数料(約5万円)をそれぞれ支払います。申立人と被申立人は、いつでも調停を終了させることができま
   す。
    よって、被申立人には、とりあえず応諾して申立人の様子をみることをおすすめします。
 (5)調停人は、当事者の主張や証拠を十分に聞いて解決案を提示します。当事者が解決案に合意すると、調停人
   が和解契約書に署名捺印し、調停が終了します。この場合、申立人と被申立人は、それぞれ、手数料(約15
   万円)を支払います。

 3.調停の効果
 (1)調停は、当事者の話し合いにより紛争を柔軟に解決でき、当事者関係を良好に維持できます。
 (2)調停の手続きと記録は非公開なので、顧客や取引先が知らないうちに紛争を解決でき、会社のイメージを損
   ないません。
 (3)調停は名古屋で行うので、時間・費用の負担が軽いです。
 (4)和解契約には判決のような強制力がありませんが、合意した和解契約に反する行動を当事者がとるとは考え
   にくいです。もし心配であれば、当事者の合意により、調停手続を仲裁手続に移行すれば、強制力のある判断
   を得ることができます。

 4.その他
   センターは、「調停」の他、「相談」、「仲裁」、「センター判定」、「事業適合性判定」、「センター必須
  判定」、「JPドメイン名紛争処理」のサービスを提供しています。これらの概要はセンターホームページで確
  認できますので、そちらもご活用下さい。

                               日本知的財産センター名古屋支部 運営委員会
                                           弁理士 村瀬 晃代

図表<日本知的財産仲裁センターのホームページから引用> 図表<日本知的財産仲裁センターのホームページから引用>