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新聞掲載記事

更新:2015/12/25

特許権の更新?(ある勘違い/早とちり)

   ある中小企業の特許について16年間特許料を納付し続けた後で、最終年分の特許料納付の期限をお知らせし
  たときのことです。最終年といっても残り3ヶ月程度の期間しか特許権は存続しない状況でした。
   料金納付の相談ということで社長さんと面談したところ、残り3ヶ月のために約10万円の特許料を払うより、
  この特許権を更新して欲しいと要請されました。ご存じのとおり、特許権には、商標権のような更新制度などあ
  りません。これまでに権利期間満了により特許権が消滅したことの経験もある方なのに、特許権を更新して欲し
  いとの相談をするとは、どういうことなのだろう。返答に困り僅かな沈黙があった後、社長さんは、「実は」と
  切り出し、少し変更した構成で再度出願から特許権取得を検討している旨の説明がありました。
   社長さんの説明する変更内容を詳しく聞くと、その内容が実に素晴らしく、これなら新たな出願で特許になる
  かもしれないと思えるものでした。調査の結果、幸いにも競合他社も改良品の開発は行っていないようでした。
   本来なら、もっと早くに改良版を出願したかったのでしょうが、特許権が満了する時期となってしまったこと
  から、社長さんは特許権の更新という表現を使ったのでした。

                                           弁理士 井川 浩文