日本弁理士会東海支部では毎年1月末に、「支部開設日記念 知的財産セミナー」と銘打ち、主に研究者、技
術者、中小企業経営者などをターゲットに500人規模の知財セミナーを開催してきた。時世にあった話題性の
あるテーマを選定し、様々な講師・パネラーを迎えて開催される当セミナーは、参加者に非常にご好評をいただ
き当地域での有数の知的財産セミナーとして知られるまでに至っている。
本年は、平成27年1月30日に、「知的財産セミナー2015」を開催した。本年は「特許・意匠・商標で活
つ!~成功事例に見る知財活用~」をテーマに、知財戦略・知財活用の事例が特許・意匠・商標の分野ごとに紹
介された。
1.特許編「アップルと戦った男たち」
特許編では、クリックホイールと呼ばれるスイッチを採用したアップル社に対して特許権侵害訴訟を提起した
個人発明家の事例が紹介された。この事件は、一審、二審とも特許権者である発明家側が勝訴し、現在は上告中
となっている現在進行中のものである。
まずは、事件を担当した弁護士の上山浩氏により、事件の概要・経緯・内容が説明された。その後、発明者の
齋藤憲彦氏(株式会社齋藤繁建築研究所)も加わり東海支部の加藤光宏(知的財産権制度推進委員会副委員長)
のコーディネートの下、パネルディスカッションが行われた。
「小さなアリが巨象を倒す!」などと報じられて話題となった注目の事件に関し、大企業相手のライセンス交
渉から訴訟まで、その困難さや凄まじさの一端を当事者から直接聴くことができた貴重な講演であった。
2.意匠編「デザイン・ブランド・知的財産、ユニオンの知財戦略について」
意匠編では、株式会社ユニオンの事例について、ユニオンの知財担当係長である宮本尚幸氏によって講演が行
われた。
まず、「企画・設計」および「流通・販売」に付加価値を見いだすことを重要視している点、「デザインへの
こだわり」、「品質へのこだわり」、「ブランドへのこだわり」という3つのこだわり、などのユニオンの企業
活動の特徴が説明された。その後、ユニオンが行っている様々な知財戦略が説明され、社長直轄の開発部が知財
を担当するという社内体制、独特な提案制度やロイヤリティ契約、全社横断的に組織されたパテント会議、独自
の模倣品対策など、様々な知財戦略が詳細に説明された。特に、企業で知財活動を行っている者にとって非常に
興味深い内容が随所に盛り込まれていた講演であった。
3.商標編「ものづくりは、演歌だ。~おもしろネーミングに見る商標戦略!~」
商標編では、株式会社筑水キャニコムの事例について、代表取締役会長である包行均氏によって講演が行われ
た。
まず、運搬車や草刈機などの産業用機械を製造販売する企業の特徴、お客さんの「ぼやき」を大切にする企業
理念、マスコミを利用した営業戦略などが説明された。更に、草刈機MASAO、三輪駆動静香などの「おもしろネ
ーミング」によるブランド戦略、ブランドを高めるカタログ戦略、「たかいけどいい」ものづくりなど、筑水キ
ャニコムが独自で行っているブランド戦略、技術戦略について、映像や面白いトークを交えながら講演が行われ
た。一般的に知財関係者がネーミングにまで関わる機会は少ないため、多くの聴講者にとって日頃聴くことので
きない貴重な講演であったように感じる。
以上のように、3つのカテゴリで講演が行われたが、いずれの事例も、いままでのセミナーであまり取り上げ
られていない成功事例であり、個人や中小企業が知的財産権制度をうまく活用した事例であった。多くの聴講者
にとって明日からの知財活動の参考になる話題が多分に盛り込まれ、非常に有意義な講演であった。
知的財産権制度推進委員会 弁理士 鈴木 和政
術者、中小企業経営者などをターゲットに500人規模の知財セミナーを開催してきた。時世にあった話題性の
あるテーマを選定し、様々な講師・パネラーを迎えて開催される当セミナーは、参加者に非常にご好評をいただ
き当地域での有数の知的財産セミナーとして知られるまでに至っている。
本年は、平成27年1月30日に、「知的財産セミナー2015」を開催した。本年は「特許・意匠・商標で活
つ!~成功事例に見る知財活用~」をテーマに、知財戦略・知財活用の事例が特許・意匠・商標の分野ごとに紹
介された。
1.特許編「アップルと戦った男たち」
特許編では、クリックホイールと呼ばれるスイッチを採用したアップル社に対して特許権侵害訴訟を提起した
個人発明家の事例が紹介された。この事件は、一審、二審とも特許権者である発明家側が勝訴し、現在は上告中
となっている現在進行中のものである。
まずは、事件を担当した弁護士の上山浩氏により、事件の概要・経緯・内容が説明された。その後、発明者の
齋藤憲彦氏(株式会社齋藤繁建築研究所)も加わり東海支部の加藤光宏(知的財産権制度推進委員会副委員長)
のコーディネートの下、パネルディスカッションが行われた。
「小さなアリが巨象を倒す!」などと報じられて話題となった注目の事件に関し、大企業相手のライセンス交
渉から訴訟まで、その困難さや凄まじさの一端を当事者から直接聴くことができた貴重な講演であった。
2.意匠編「デザイン・ブランド・知的財産、ユニオンの知財戦略について」
意匠編では、株式会社ユニオンの事例について、ユニオンの知財担当係長である宮本尚幸氏によって講演が行
われた。
まず、「企画・設計」および「流通・販売」に付加価値を見いだすことを重要視している点、「デザインへの
こだわり」、「品質へのこだわり」、「ブランドへのこだわり」という3つのこだわり、などのユニオンの企業
活動の特徴が説明された。その後、ユニオンが行っている様々な知財戦略が説明され、社長直轄の開発部が知財
を担当するという社内体制、独特な提案制度やロイヤリティ契約、全社横断的に組織されたパテント会議、独自
の模倣品対策など、様々な知財戦略が詳細に説明された。特に、企業で知財活動を行っている者にとって非常に
興味深い内容が随所に盛り込まれていた講演であった。
3.商標編「ものづくりは、演歌だ。~おもしろネーミングに見る商標戦略!~」
商標編では、株式会社筑水キャニコムの事例について、代表取締役会長である包行均氏によって講演が行われ
た。
まず、運搬車や草刈機などの産業用機械を製造販売する企業の特徴、お客さんの「ぼやき」を大切にする企業
理念、マスコミを利用した営業戦略などが説明された。更に、草刈機MASAO、三輪駆動静香などの「おもしろネ
ーミング」によるブランド戦略、ブランドを高めるカタログ戦略、「たかいけどいい」ものづくりなど、筑水キ
ャニコムが独自で行っているブランド戦略、技術戦略について、映像や面白いトークを交えながら講演が行われ
た。一般的に知財関係者がネーミングにまで関わる機会は少ないため、多くの聴講者にとって日頃聴くことので
きない貴重な講演であったように感じる。
以上のように、3つのカテゴリで講演が行われたが、いずれの事例も、いままでのセミナーであまり取り上げ
られていない成功事例であり、個人や中小企業が知的財産権制度をうまく活用した事例であった。多くの聴講者
にとって明日からの知財活動の参考になる話題が多分に盛り込まれ、非常に有意義な講演であった。
知的財産権制度推進委員会 弁理士 鈴木 和政