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新聞掲載記事

更新:2015/02/27

特許権取得の必要性~事業収益につなげるために~

  「儲かりまっか?」「ボチボチでんな」
   特許権の取得も最終的に事業収益につなげなければ意味がありません。「特許取ったのに儲かりまへん」では
  ダメなのです。そこで、事業収益の観点から特許権取得の目的を考えてみましょう。
   特許権取得の目的としては、(1)自社実施の確保・他社の参入阻止、(2)ライセンス収益、(3)企業価
  値(商品価値)向上、(4)社員のモチベーション向上などが挙げられます。それぞれの目的で特許権を取得し
  た場合にどんな効果が期待できるのか、これを知ることが特許権取得を事業収益につなげるヒントになるのでは
  ないでしょうか。
   次に、上記の目的(1)~(4)で特許権を取得した場合の効果を考えてみましょう。

  (1)自社実施の確保・他社の参入阻止
     自社が特許権を取得した場合、自社は特許発明を独占的に実施できます。一方で他社は自社の特許発明を
    勝手に実施できません(マネできません)。これにより、他社の参入を阻止したり遅らせたりすることがで
    き、他社に対して優位性を確保できます。そして、特許権で守られた優位性のある製品を市場に投入し、事
    業を有利に展開できます。その結果、競合会社との競争に打ち勝ち、事業収益向上につなげることができま
    す。
  (2)ライセンス収益
     自社が特許権を取得した場合、特許発明を他社に実施させることができます。他社に対して自社の特許発
    明のライセンスを供与すれば、実施料(ロイヤリティ)が得られます。これにより、特許権から直接的に収
    益を獲得できます。
  (3)企業価値(商品価値)向上
     商品に「特許第000000号」といった表示をしたり、商品の広告に「特許技術」「特許製品」などの
    言葉を使用したりすることで、自社技術をアピールすることができ、さらには先進的な良いイメージを持っ
    てもらうことができます。その結果、企業価値(商品価値)を高め、他社との差別化を図り、事業収益向上
    につなげることができます。
  (4)社員のモチベーション向上
     これも間接的に事業収益向上に寄与するといえます。発明は勝手に生み出されるものではありません。や
    はり優れた発明を創出した発明者を高く評価し、適切に処遇することは重要です。処遇方法としては、金員
    (報奨)によるものが基本となりますが、その他社内表彰、昇進、研究開発環境の充実化などの処遇も、発
    明創出のインセンティブとなります。

  「特許取って儲かりまっか?」「ボチボチでんな」こんな挨拶ができるといいですね。

                              知的財産権制度推進委員会 弁理士 和田 直斗