東海会の活動について

新聞掲載記事

更新:2015/01/30

Q&Aと活用例で学ぶ知的財産(2)

   先月号に続いて、休日パテントセミナー2014in各務原においてお話した内容をおさらいします。今回ご紹介す
  るのは、知財活用事例です。
   この活用例では、実際の製品を見て触ってもらいながら、従来品と比べてもらって発明の要点はどこにあるの
  かを、聴講者に考えてもらいました。その後で、その製品に関する権利化の経緯、進歩性の要点を説明し、その
  製品により権利者がどの位利益を得られているかを説明しました。具体的な製品を見ながらの説明ですので、分
  かりやすかったようです。
   活用例1:ハンドルカバーの特許例を使いました(写真参照)。これは車のハンドルを覆い操作しやすくする
  ものですが、従来と異なる点は、取付時に先にはめ込む側の縁内径を手前側より大きくした点にあります。これ
  により、装着時の美観と嵌めやすさという格別の効果が発揮され、進歩性が認められました。岐阜県安八郡にあ
  るこのメーカは、ハンドルカバーでは全国一のシェアを誇っていますが、この新商品は価格は高めであるにも関
  わらず、その装着性が評価されて同メーカーのハンドルカバー売上の7割を占めているそうです。
   活用例2:高張力鋼グレーチングの例です。グレーチングは道路の側溝蓋で鉄の格子状のものです。その主要
  な部材の素材として高張力鋼を使うという出願をしたのですが、引例により進歩性が否定されました。そこで、
  現場の製造過程において、その主要部材だけを高張力鋼とし他の部材を一般鋼とすることで圧接溶接後の歪が少
  なくなる、という格別の効果が発見され、出願して特許になりました。この瑞穂市にあるメーカーは、この特許
  を背景に、発売後4年で20億以上の売り上げを得られています。
   活用例3:園芸店で見かける育苗ポットを収容するトレイの例です。従来のトレイは上縁が枠体になっており、
  底部は各ポット収容部がそれぞれ隙間を持って並んでいるものでした。しかし、それではトレイをローラーコロ
  で移動させる場合に、コロの上端がその隙間に入り、その反動でトレイにショックを与え、育成した苗を入れた
  ポットがトレイから飛び出るという問題がありました。そこで、逆に底側を直線部分で連結し、一方それではト
  レイを積み重ねられないので、底側直線部分を逃がすように上縁側に隙間を設けたものを案出され特許になりま
  した。この際に、この美濃市のメーカーは各ポット収容部での強度を維持する構造に苦労されたそうです。こ
  の製品は顧客に喜ばれ、製品は良く売れています。
   特許の活用例の他、意匠権と商標権とで保護された工事用安全灯の例も説明しました。

                                            弁理士 西尾 務