昨年、富士山が世界文化遺産に登録された。富士市出身の私にも母から地元が富士山の世界文化遺産登録で沸い
ている旨の連絡があった。その後、富士山関連の商標登録出願が増加していることを小耳にはさんだ。商標が登録
されれば、登録された商標については第三者が自由に使用することができなくなる。例えば、地元で細々と富士山
に関連する商品名のお菓子を長年販売している企業Aがあったとしても、後発的にその商品名の商標を登録した企
業Bから差し止めを請求されれば、お菓子の販売を中止せざるを得ないケースが生じる。
このように、商標権を取得していないと商標の自由な使用が制限される。特に、富士山のように著名な名称にあ
やかって商品名を設定している場合には、多くの人が同様の商品名を考える可能性があると思われる。このため、
自衛のためにも商標登録の要否を判断し、商標登録が必要であればはやめに出願をすることがいいと思った。
弁理士 井出 佳一