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新聞掲載記事

更新:2013/10/31

猫の手を借りない特許検索

「こらっ、しっかりしぇんか、たいがいにせなあかんよ」
その声はリズだ。数日前に来日したらしい。なぜかあやしい名古屋弁だ。僕は中小企業に勤めている。うちの会社、とにかく人手が足りない。最近、社長から特許などの知的財産の仕事もやれと言われた。多忙のせいか、PCの前に座ると、つい船を漕いでしまう。

「リズさん、特許検索って、できる?」

「できるで」
こいつには頭を下げたくないと思ったが、事情を説明して、なんとか拝み倒した。
「そりぁ猫の手も借りたいでしょ、なんとかせにゃいかんにゃ」
「ふぅー」なんとか一緒に特許検索をする約束を取り付けた。

短い言葉を選ぶ

「公報テキスト検索って、どうしたらヒットするかな?いつも、ヒット件数0件なんだよ―」そう言った僕にリズはPCを覗きこみながら容赦ない。

「おみゃあさんよぉ、最初のキーワードに、”コンピューター”って入れてるがね。こりゃ、長音(ー)なしの方がええんだわ」
言われるがままに検索し直してみた。ヒット件数434983件だ。ちょっと見なおした。

「な、なんでそんなふうにするんですか?」
「そりゃあ、ヒット件数を多くするためだがね。長音の一語でも随分違うで。嘘だと思うんなら、試してみんしゃい」
リズのおかしな話に乗っても悪くない、僕はわけもわからずやってみた。
”コンピューター”だとヒット件数12209件。”コンピュータ”で434983件。

「なるほど―。ここから絞り込めばいいんですね?」
(信じられない顔で)「そうかにゃあ…!?」

類義語表現をOR検索で

「あせるんじゃにゃあの。”コンピュータ”の言葉の後ろにスペースを入れて、”電子計算機”を入れてみやぁ」
その通りやってみる。ヒット件数436976件。

「増えてる!」
「そう、類義語を入れなんだら、とても検索漏れを防ぎきれん」

AND検索で絞りこむ

「でも、件数が多すぎて一覧表示が見えませんが…」
「ほうだで、入力が複数段あるんだがね。1段目と同じようにして2段目や3段目を使ってみやぁ」
最初に教えてもらったとおり、2段目や3段目の検索項目選択を『要約+請求の範囲』にしてから、検索をしてみた。2段目を使ったヒット件数は1056件。3段目を使ったヒット件数は55件。絞り込めてる。だんだん面白くなってきた―

拗音、促音にも対応

「あのぅ。”コンピュ-タ”(マイナス)や”コンピユータ”(促音)も入れた方がいいですか?」
僕は恐る恐る聞いてみた。

「いい質問だがね」
褒められてうれしくなってきた。

「2008年(平成20年)11月25日から『拗音』『促音』『大文字・小文字(英文字)』『長音・マイナス』については統一対応となったで、どれか一つを入力すれば同時に検索が行われるようになったんだわ。ほんだけれども、検索項目を『出願人』『権利者』とした場合は統一対象外だで。こりゃぁ、知っておいて損はないがね」
「ありがとうございます」
「遠慮せんとおぅ、何でも聞きゃあ。知らんことは教えーせんで」

弁理士 森 秀樹