先日、「面白い恋人」を付した菓子を販売していた吉本興業が「白い恋人」の商標権者である北海道の製菓会社から訴えられていた事件が和解した。吉本興業側がパッケージのデザインを変更し販売地区等を限定することで合意に至ったようである。
この事件は商標権の侵害事件であり、2つの商標の類否が焦点となった訳であるが、「面白い恋人」は「白い恋人」の“パロディー”とも言える。
絵画、音楽、小説や漫画等の著作物の場合には、複製権、同一性保持権等の観点から、このパロディーがしばしば問題となる。
パロディーは、元の作品とは別個に高い評価を受けることもある。30年ほど前、マイケルジャクソンの“BEAT IT”が大ブレークしたときに、“EAT IT”という曲もヒットし、音楽番組で映像が流れるのを楽しみにしていたことを覚えている。
パロディーについては、現行の著作権法には規定がないが、文化審議会で2~3年後の法制化を目指して検討中である。原著作権者、パロディー作家双方の著作意欲を盛り上げるような内容として欲しいものである。
弁理士 井上 敬也