日本弁理士会東海支部では、弁理士の役割を広くご理解いただき、知的財産の必要性や重要性を身近なものとして知っていただくために、ここ数年、各種展示会への出展を積極的に行っています。本年度は、去る2012年11月上旬に行われた「メッセナゴヤ2012」に続いて、同年11月28日(水)から11月30日(土)の3日間にわたって行われた、東海地区を中心とする“ものづくり企業”による国際見本市「TECH Biz EXPO 2012」へも出展しました。
今回の「TECH Biz EXPO 2012」では、メッセナゴヤ2012と同様に、出展スペースにおいて、特許や商標など知的財産に関する無料相談を実施し、知的財産権に支えられたヒット商品を紹介したポスターを展示するとともに、知的財産に関するミニセミナーを開催しました。この「ミニセミナー」は、知的財産の必要性や重要性を身近なものとして知っていただく、といった目的に適したテーマの講演を準備するだけでなく、講師である弁理士を多数動員して実施しており、今年度の展示会への出展に際して日本弁理士会東海支部が最も力を入れた企画となりました。
今回の出展に際しては、出展スペース内に、無料相談およびポスター展示のためのスペースとは別に、スクリーンや座席などを配置したスペースを確保し、このスペースで短時間のセミナーを複数回開催することとしました。これは、出展スペース内で気軽に聴講していただけるようにするためであり、さらに、知的財産の必要性や重要性を体系的にご理解頂けるように、セミナーのテーマとして、知的財産の基礎的な内容はもちろん、アップルとサムスンによるスマートフォンに関する特許紛争やグリーとディー・エヌ・エーによる釣りゲームに関する著作権の紛争といった身近な事例紹介や、ブランドの守り方、知財価値評価と知財戦略経営といった少し複雑なテーマまで幅広く取り上げました。
展示会の会期中は、午後1時から30分程度のミニセミナーを1時間ごとという頻度で開催したのですが、毎回あらかじめ用意しておいた座席の多くが埋まるような状況となり、特に、紛争の事例紹介がテーマの回では、多くの方に立ち見して頂かなければならなくなってしまいましたが、知的財産についての関心の高まりを感じさせる嬉しい結果となりました。
近年、前述したアップルとサムスン、グリーとディー・エヌ・エーをはじめとして、知的財産に関する紛争問題が報道などで大きく取り上げられるようになり、知的財産の専門家である我々弁理士からみても、知的財産はより注目される対象になってきていることを強く感じています。ただ、紛争問題に限らず、一般に知的財産に関する問題は、知的財産の知識をベースとして、製品やサービスにおいて何が問題となっているのか、特許権や著作権などの権利関係がどうなっているのか、といった点を解釈する必要があり、必ずしも問題の全体像を把握することが容易ではありません。今回のミニセミナーでは、このような問題も考慮したうえでテーマを選定しています。聴講して頂いた方々にとって、知財に関する問題を把握し解決する助けになっていれば幸です。
弁理士会東海支部では、このような展示会への出展時だけでなく、日本弁理士会東海支部室でも弁理士による無料相談を実施しております。特許や商標など知的財産に関するご質問などがありましたら、遠慮なくご相談ください。
日本弁理士会東海支部 知的財産支援委員会 副委員長
弁理士 久納 誠司