私が弁理士試験に合格したのは、今から約45年前の1967年で、当時の合格者数は毎年40名前後、弁理士数が1200名位だったと思います。1967年当時は物を作れば売れるし、月給は20%昇給と大変な高度成長時代で、大企業は出願件数争いにしのぎを削っておりました。特に家電業界の出願件数はすさまじく、当時独立開業した私は、希少だった電気専門弁理士だったこともあって仕事が洪水のように押し寄せ、その多忙たるや1分1秒を惜しむほどでした。特許事務所のほとんどはそうでした。当時、特許に比べ効力に差がなく低コストの実用新案の利用が非常に高く、クレームも単項制で先願の拡大制度もありませんでした。このため、クレームが異なれば別発明となり、実施例記載に後願の排除効がなく、これが出願の激増という必要悪を招いたのです。当時は審査請求制度がなく全数審査に付され、しかも審査請求待ち期間もないので審査結果も早く、これが新米弁理士だった私にはすぐ教材として役立ったものです。
弁理士 佐藤 強