東海会の活動について

新聞掲載記事

更新:2012/04/27

日本弁理士会東海支部2012年度支部長 小島清路氏に聞く

 日本弁理士会東海支部は1997年1月31日の開設以来、地域に根ざした活動を展開。また中小企業への知的財産支援をテーマとしてさまざまな事業に取り組んでいる。その2012年度支部長に小島清路氏が就任した。日本経済が技術立国として進んでいくための“先行指標”ともなる特許出願数は大企業のみならず、中小企業も減少している。「開発型を中心とした中小企業の知財支援を活発化することで、個別企業から地域産業全体の活性化に結び付けていきたい」と語る小島支部長に今年の取り組みなどを聞いた。

―支部長就任の抱負は。

 「東海支部管内でもリーマンショック後の世界的な景気低迷や最近の円高の影響も大きく、大企業から中小企業まで特許出願が停滞している。出願数減少は研究開発、新商品開発の勢いがなくなっていることを意味しており、将来の経済にもマイナスだ。中小企業、なかでも開発型中小企業への知的財産支援を行うことで企業が元気になり、それを地域産業全体の活性化に結び付けていきたい。」

―東海支部の現況は。

 「所管地域(愛知、岐阜、三重、静岡、長野の5県)の会員数は約600人。10年前は約300人だったことから倍増している。弁理士登録してから5年以内の会員の割合は全国で3割ほどで、当支部でもほぼ同様の状況にある。若手からベテラン弁理士までに対する研修制度も充実しており、常にレベル向上に取り組んでいる。また10年前は、さまざまな事業を担当する委員会は三つしかなかったが、いまは15委員会にまで拡大、社会ニーズに応えている。」

―中小企業支援活動に関しては。

 「昨年度は、幅広い分野の技術を紹介する『テックビズエキスポ』に、一昨年度は異業種交流展示会『メッセナゴヤ』にそれぞれ出展した。いずれも開発型企業や意欲のある企業が参画しており、今年度は両方とも出展する計画だ。いずれも参画企業や来場者に知財の重要性を積極的にPRしていきたい。またテックビズについては前回の2ブースから3ブースに拡大、セミナーを自ブースで開催する。メッセナゴヤも同様に積極的に展開する。」
 「経営の中に知財を刷り込んでいくため、少人数で行う『知的財産ゼミ』も今年も開催する。参加対象もニーズにあわせて経営者のほか、研究開発者や知財担当者まで広げていく。また7月1日の『弁理士の日』に合わせた記念イベントや、1月の支部開設を記念した『知的財産セミナー』も開催する。」
 「このほかさまざまなテーマでセミナーも随時行う計画だ。一例だが、知財調査は中小企業の担当者レベルでもできること。この調査を企業単位で行うようになれば、他社の研究開発や商品開発の動向などを知ったうえで、製品開発に取り掛かることができる。また、出願したり権利を取得したりすると企業戦略に活かすことができる。こうした仕組みをセミナーを通じて知ってもらいたい。またさまざまな公的機関と連携したイベントも実施していく。」

―教育啓蒙活動にも力を注ぐ。

 「これまでも大学、高校、中学、小学校を対象にした出前授業などに取り組んできた。小学生の場合は科学への関心を、また中高、大学ではモノづくりや知財の重要性を理解してもらう場であり、今後も継続していく。」

―知財制度への取り組みは。

 「知財制度の利便性が上がるよう弁理士会本会その他関係機関への提言なども行っていく。」