私は26歳の時、昭和61年に弁理士登録をし、今年で弁理士生活26年となります。つまり、生まれてから弁理士になるまでの月日と、弁理士になってから現在までの月日とが、(今、気がついたのですが)ちょうど同じになったのです。
ところで、大学時代から試験勉強を始めた私は、現役合格を目指したのですが、それは叶わず、卒業した後も受験浪人をしました。当時の合格者は80名前後でしたから、今の合格者の数とは比べるべくもありませんが、弁理士登録できたときは、その嬉しさよりも(将来に不安を持っていた私には)安堵感で一杯でした。
また、その頃、私は先輩の特許事務所に就職していました。初期のワープロ(あの懐かしい富士通のオアシス!)のキーボードを叩き、ドットプリンタのけたたましい音を聞き、そして、先輩弁理士の薫陶を受けながら、深夜まで仕事をする毎日でした。明細書の作成、意見書等の中間処理、外国出願の管理など、その頃の実務経験が現在の仕事のベースになっています。
今振り返ると、何故だかその頃にボスが私に言った言葉がふつふつと心に蘇ってきます。それは・・・
「稲葉さん、人よりほんの少しだけ努力すればいいんですよ。」
弁理士 稲葉 民安