東海会の活動について

新聞掲載記事

更新:2004/10/21

特許相談室での相談事 Vol.1

 日本弁理士会東海支部では、毎週月曜日から金曜日(祝日を除く)の午後1時から午後4時まで無料の特許相談を実施しています。この特許相談では、東海支部に属する弁理士が特許をはじめとする権利の取得から活用まで知的財産権全般について無料で相談に応じています。
 今回は、この特許相談で実際に相談者から相談のあった内容と、その回答についてご紹介します。

Q1.特許庁へ特許出願したところ、出願後しばらくして特許庁から「手続補正指令書」という書類が送付されました。この書類は何ですか。また、特許庁へどのような対応をすればよいですか。
A1.特許や商標など特許庁へ出願する書類は、法律や規則で定められた形式に従って作成し必要な書類を添付する必要があります。しかし、何かのミスで出願人が書類の形式を誤ったり、必要な書類の添付を忘れたとき、特許庁は出願人にミスの訂正を求めるために「手続補正指令書」を発行します。出願人は、「手続補正指令書」に記載された期間内に、特許庁へ「手続補正書」を提出することによりミスを訂正することができます。
 但し、出願人は、「手続補正指令書」が発行されたからといって特許庁へ出願した書類を自由に訂正することはできません。訂正できる範囲も、法律や規則に定められています。詳しくは、特許相談等を利用して弁理士にご相談下さい。

Q2.私は、装置Xを発明しました。特許庁のウェブサイトで調べたところ、Xとほとんど同じ装置Yが実用新案として登録されていました。しかし、この装置Yの考案は、昭和50年頃に出願されており、現在では実用新案権が消滅しています。今、私が装置Xについて特許出願をすると、装置Xについて特許を受けることができるのでしょうか。
A2.意外ですが、このような質問はよくあります。ここでは特許法の規定を中心に説明しますが、実用新案法や意匠法も同様の考え方です。特許法では、まず出願された発明が「新規なもの」であり、「新規なもの」であっても従来存在する発明から「容易に発明できないもの」であったとき、特許することになっています。そのため、上記の質問のケースでは、昭和50年頃に出願された考案は、特許庁が発行する公報によって開示されているので、「新規なもの」に該当しません。したがって、装置Xの発明が特許となることはありません。
 また、仮に出願した発明が「新規なもの」かつ「容易に発明できない」ものであっても、同一の発明であれば、最も早く出願した出願人にのみが特許を受けることができます。これがいわゆる「先願主義」というものです。特許を受ける場合、他人に公表する前にできるだけ早く出願することが重要です。
 紙面の都合もあり、今回は二つの疑問とその回答を挙げました。このように、日本弁理士会東海支部の無料特許相談では、みなさんからの知的財産制度の素朴な疑問や相談も受け付けています。会場、日時及び予約申込の詳細は、 日本弁理士会のウェブサイトをご覧下さい。

弁理士 南島 昇