東海会の活動について

新聞掲載記事

更新:2004/09/21

知的財産制度を知ろう

 21世紀は、知的創造の時代と言われ、技術向上、新規産業創出に大きく寄与する知的財産制度に注目が集まっている。テレビ・新聞では毎日のように知的財産権に関する報道が話題として取り上げられ、関心の高さが窺われる。しかし、まだまだ知的財産制度についての知名度はそれほど高くなく、その金額の大きさだけに目が行きがちだ。例えば、青色発光ダイオードに関する訴訟では、億単位の金額が報じられている。よくその中身を見てみると、A社とB社とが争っている特許権侵害訴訟、A社の元社員とA社とが争っている職務発明に関する訴訟等があり、会社同士の争いと、従業員と会社との争いがある。なぜこのようないくつもの争いがおこるのか。この疑問を解くには、技術向上、新規産業創出の陰に隠れがちになってしまう、知的財産制度に関する深い理解が必要だ。

 そもそも知的財産権制度とは何なのか、他社に真似されないようにするためにはどうすればよいのか、従業員から訴えられないようにするためにはどのようにしていくことが良いのか。これらの疑問に少しでも応えることができるように、特許庁を初め、(社)発明協会、各県の商工会議所、日本弁理士会等では各種講習・相談会を各地で開催している。知的財産制度を理解するためには、全国各地で開催されている特許庁の初心者向け、実務者向け無料説明会を利用すると良い。
 愛知県では10月12日(火)から11月10日(水)まで6日間の実務者向け説明会が行われ(場所:名古屋商工会議所、事前申込:不要)、静岡県では10月5日(火)、12日(火)の2回で実務者向け説明会が行われる(場所:アクトシティ浜松、事前申込:(社)発明協会 静岡県支部。また、三重県では10月26日(火)に初心者向けの制度説明会が行われる(場所:プラザ洞津、事前申込:(社)発明協会 三重県支部)。

 従業員から訴えられないようにするための職務発明制度を理解するためには、9月27日(月)及び11月29日(月)に開催される特許庁の職務発明制度説明会を利用すると良いだろう(場所:名古屋商工会議所、事前申込;不要)。これらの説明会は毎年開催されているので、詳細は特許庁のホームページをご覧いただきたい。
 他者(企業・大学・研究機関等)からの特許技術導入を検討するためには、特許流通フェアを利用することも良いであろう。このフェアは、特許庁・各経済産業局が主催となって開催する「出会いの場」を提供するものであり、出展料・入場料は無料となっている。中部地区では、11月17日(水)~19日(金)に中小企業振興会館(吹上ホール)で行われる。

 昨年・一昨年と期間中の来場者が2万人を超え、年々盛況を呈する様になってきている(問い合わせ先:特許庁総務部総務課地方班)。具体的な発明についての相談は、日本弁理士会東海支部が名古屋商工会議所内で行っている無料特許相談を利用すると良い。その他にも、日本弁理士会東海支部では、「休日パテントセミナー2004in名古屋」と称して、9月18日(土)~来年3月19日(土)の予定で、7回に渡って「特許権の活用」を重点にした市民講座の開設を予定している(場所:愛知県産業貿易会館、事前申込:日本弁理士会東海支部)。詳細は日本弁理士会東海支部のホームページをご覧いただきたい。

 各経済産業局特許室から情報提供のあった全国の中堅・中小企業の中から、技術開発力を特許権に結実し、新規市場に参入した企業、又は他社からの権利侵害の警告から特許権を重視した企業、さらには特許流通施策を活用して新製品開発に繋げた企業など、積極的に経営戦略に特許権を位置付けている企業を集めた「特許活用企業事例集」も知的財産制度を活用した事例として非常に参考になる。
詳細は特許庁資料室のホームページをご覧いただきたい。

 これらの講習・相談会・事例集等を通じて知的財産権の価値を再認識し、知的財産権を有効活用していただければ幸いである。

弁理士 渥美 久彦