東海会の活動について

新聞掲載記事

更新:2011/01/31

知的財産セミナー2011開催

 日本弁理士会東海支部では、平成23年1月28日(金)に名古屋市のヒルトン名古屋にて、企業競争力強化のための知的財産、デザイン&ブランド活用法をテーマとした「知的財産セミナー2011」を開催いたします。
 日本弁理士会は、産業財産権の制度の適切な運用に貢献するために、弁理士法に基づいて設立された弁理士に関するわが国唯一の法人組織であり、知的財産制度の普及と啓発をはじめ、知的財産を通じて様々な形で積極的に社会貢献に取り組んでいます。
 日本弁理士会東海支部は、平成9年1月31日に設立された日本弁理士会の地域組織です。当支部は、地域密着型で知的財産に関する普及・啓発活動、相談等を広く実施するため、様々な形で活動を行っています。
 平成13年度より、支部開設日を記念して、支部開設セミナーを行っております。本年度は、企業活動における知的財産活用、デザイン導入、ブランド導入の必要性についてのセミナーを開催いたします。現在でも厳しい景気環境が続いています。このような時期であるからこそ、将来を見据えた新たな行動を考えるべきであります。新たな事業を考えたときに、その事業性を見る上でも事業を守るためにも、知的財産権の活用は重要であります。また、新たな事業のためにもまた現在継続中の事業の再構築のためにも、デザイン導入、ブランド導入は有効であると考えます。
 今回は、各講演の内容について、講師からのコメントとともにご紹介します。

企業競争力強化のための知的財産、デザイン&ブランド活用法

・講演1「中小企業の収益向上のための知財活用戦略」
 講師:嶋  宣之 氏(弁裡士・ベル特許事務所代表)
 特許を取る目的は、同業他社との差別化であるが、完成品メーカーと部品メーカーとでは、差別化要素が大きく異なります。完成品メーカーの差別化要素は商品そのものであり、部品メーカーの差別化要素は発注者であるお客に対する信用であります。
 したがって、完成品メーカーが特許を取る目的は、市場で商品の差別化を維持することで、そこでは市場対策がメインテーマになります。しかし、部品メーカーが特許を取る目的は、お客の信用を獲得することで、そこではお客対策がメインテーマになりなす。
 特許と市場対策、特許とお客対策と言う観点で特許戦略を考えることは、今までほとんどされていない新しい切り口で特許戦略を分かりやすく解説します。

・講演2「中小企業の企業競争力強化のためのブランド&デザイン活用法」
(第1部)「ブランド導入の必要性と導入事例紹介」
 講師:木全  賢 氏(株式会社ビートップツー取締役・デザインコンサルタント)
 認知科学に基づいたブランドコミュニケーションの基礎知識をわかりやすくご説明し、BtoBビジネスでの具体的なブランド導入事例をご紹介します。
 21世紀こそ「デザインの時代」であり、コミュニケーションツールとして活用することで、BtoBビジネスでも有効なブランド戦略についてお伝えします。ブランドコミュニケーションの基礎は、とても理解しやすい認知科学に基づいています。コミュニケーションの前提から説き起こし、企業が情報発信するときの要点を「物語性」「共感」「信頼」などのキーワードを使ってわかりやすくお伝えします。そして、最後に具体的な導入事例として、墨田区の従業員50名弱の中堅建設機械メーカーの創立40周年記念ブランドリニューアルについて紹介し、顧客の信頼を得つつ、従業員の自信や愛社精神まで育んでいく過程をご紹介します。

(第2部)「デザイン導入の必要性と導入事例紹介」
 講師:井上 和世 氏(有限会社ネオデザイン代表取締役・デザインコンサルタント)
 機械も職人もいないアセンブリメーカーが町工場のネットワークを生かし、デザイナーと二人三脚でオリジナル製品を開発した事例を紹介いたします。
 東大阪の職人もいない、工作機械もない、従業員十人のオフィスアクセサリのアセンブリメーカーが、地元町工場のネットワークを生かし、デザイナーと二人三脚で歩んだ20数年間について語ります。オフィス通販「アスクル」創世記、アスクルからの要求に応えるため「デザインしないこと」をコンセプトに、町工場の手持ちの材料と金型をフル活用し、国内生産ながら低価格を実現し、製品のシリーズ化と新しいカタログ表現の提案により、専属サプライヤーとなり、その後、オフィスアクセサリ分野から家具分野に進出し、オリジナルパーテションを開発し、特許・Gマークを取得、ついに、OEMメーカーからの脱却を果たした経緯をお伝えします。

(第3部)「BtoC(企業と一般消費者との取引)ビジネスでのブランド&デザイン導入事例紹介」
 講師:木全  賢 氏・井上 和世 氏

 生産機械メーカーが洗顔石鹸や理容用品のネット通販事業を立ち上げた際の、講師二人がかかわったブランド&デザイン導入事例をご紹介します。
 BtoC新規事業のためにブランドを立ち上げた先代社長が急逝し、新規事業に懐疑的だった2代目社長が、いつしかブランドに込めた先代の想いを引き継ぎ、新たな商品開発に取り組んだ事例をお伝えします。

 今回のセミナーが知的財産関係者のみならず、経営者、技術者、研究者の皆様にいくらかでもお役に立ち、今後の事業活動の一助となれば幸いです。参加費は無料ですので、奮ってご参加ください。なお、申込方法などの詳細は、日本弁理士会東海支部のホームページ(http://www.jpaa-tokai.jp/)からご確認いただけます。

日本弁理士会東海支部 支部長
弁理士 向山 正一