せっかく開発した新製品を他社に真似されたら、大損害となります。その新製品を他社の模倣から守ることができるのは、知的財産権です。開発の各段階でどのように、知的財産権により新製品を守るかを説明します。
知的財産権の主なものは次の4つです。
種類 | 保護する対象 |
特許 | 製品や製造方法等の技術(発明) |
実用新案 | 製品の形状構造の技術(考案) |
意匠 | 物品の外観のデザイン |
商標 | 商品やサービスに使用するマーク |
1.開発の着想段階
開発の着想段階では、まず特許調査が必要です。これは、これから開発しようとする製品について、他社がどのような特許を有しているか、自社で開発する余地があるか、ということを調査します。これにより、開発分野の技術動向を把握して、事業方針の決定、開発方針の決定をすることができます。この調査は、特許庁のホームページの「特許電子図書館」で行うことができます。
さらに、特許調査を踏まえた開発品の基本的技術(コンセプト)の特許出願が可能か検討します。これによりこれから開発する基本的技術(コンセプト)を保護して、技術のフィールドを確保することができます。
2.技術開発の実行段階
技術の開発の実行段階では、基本技術を具体的に製品にするための開発した成果である重要技術の確実な出願が必要です。これにより開発品の重要な技術を特許権で保護することができます。
開発品の重要な技術を、特許調査した他社の技術と比較して、どのように発明としてとらえて、特許出願するかということが大切です。
3.設計段階
技術的な開発の目途が立ち、具体的な製品の設計段階に入ると、具体的な構成、機構等について、企画段階よりも具体的な形状について追加の特許調査をすることが大切です。そして、事業計画に沿って具体的な構成、機構等について追加の特許出願をして漏れの無い特許権の取得を目指します。
また、早期権利化が必要な、シーズンものや流行物は実用新案の出願の必要性についても検討します実用新案は、無審査で登録されますので、早期の権利化ができます。
4.試作・販売準備段階
具体的な製品の試作・販売準備段階では、その製品の外観形状やデザインを保護するために意匠出願の検討をします。
さらに新製品のネーミングが決まったら是非商標調査と商標出願をすることが必要です。せっかく売り出しても、ネーミングが他社の商標に類似していては製品のネーミングを変更しなくてはなりません。
この様に、新製品を開発し販売するまでの各段階に、どうすれば知的財産で強力、確実に保護することができるかについては、専門家である弁理士にぜひご相談ください。
弁理士 糟谷 敬彦