平成21年度もこの伝統を継承した事業を行うとともに、昨年前半好調であった東海支部地域の企業は後半一転して不調となり、21年度は一層深刻な状況になることが予想されることから、かかる現状を回復するための支援事業と、中小企業の支援事業を促進するとともに、毎日利用している知財制度についても議論を重ね、支部会員のポテンシャルアップを図るとともに、支部会員の協力を得てより良い知財制度の構築に貢献する第一歩を踏み出していきたいと思っております。
平成21年度活動するにあたり、次の3点を重点項目として活動していきたいと考えております。
企業の現状回復支援事業
昨年後半の米国の金融危機に端を発する世界的経済危機により、輸出関連企業が多い東海支部地域の企業は大きな打撃を受け、存続の危機に直面している企業もあります。
かかる現状を踏まえ、企業がこの現状を回復するための一助となる即効性のある支援事業の展開を予定しています。
中小企業支援事業
東海支部の会員はこれまでも支部またはその他が主催する事業を通じて中小企業の支援を随時行ってきていますが、必要な知財人材を有する大企業に比べて中小企業の支援においては、必要とされる支援範囲が広く、支援内容も多岐にわたっています。
そこで東海支部として、中小企業の要請に応えられる中小企業支援人材を育成し、支援人材バンクを確立し、支援レポートの提出制度を運用して支援事例を蓄積し、中小企業にとって有効な支援内容を具体化するとともに支援体制の確立を目指します。
知財情報の収集と提供、ポテンシャルアップ、知財制度の検討
特許法条約(PLT)の動向、その他鈴木特許庁長官の私的ワーキンググループにおける検討に応じて大きく変動しようとしている知財制度のトピックス(法改正および運用の変更等)を収集し、支部会員ならびに支部地域の皆様にタイムリーに提供します。
また小泉政権以来の知財立国政策の推進により、わが国の知財制度も頻繁に法改正が実施されてきました。しかし一連の法律および運用の改正の結果、手続の自由度の抑制、進歩性の厳格な運用、ダブルトラックによる権利の不安定化等、利用者にとって必ずしも使い勝手の良いものばかりとは言えません。
従来より、日本弁理士会では実務委員会において法律改正に関する事前検討が行われていますが、東海支部においても、実務委員会を試行的に設置して、支部会員のポテンシャルアップを図り、地域の特質を考慮するとともに大局的な見地から活発な議論を行い、知財制度の問題点の抽出および改善策の提案ならびに将来の世界的な知財制度の統一に対する提言等ができることを目指します。
主な対外事業
東海支部は、知的財産に関する専門家集団として、その社会的要請に応え社会的責任を果たすために、以下の対外事業を予定しています。
休日パテントセミナー
一般市民および中小企業の皆様に知的財産権について理解していただくために、基礎および応用のシリーズ形式で、土曜日に開催します。
教育機関への支援
支部地域内の小中学校、高校大学等に対して弁理士が支援を行うもので、「小中高出前授業」では創造力豊かな人材の育成や知的財産権を尊重する精神の涵養を目的として、科学の楽しさ、知的財産の創造と尊重の重要性を学んでもらいます。
定例イベントの開催
(1)「発明の日わくわくフェアー」
平成21年4月19日 産業技術記念館
小学生向き科学工作および発明相談
(2)「弁理士の日」記念イベント
平成21年6月27日 名古屋商工会議所ビル
知財セミナー、特許検索および特許相談
(3)「開設日記念 知的財産セミナー2010」
平成22年1月29日 ヒルトン名古屋
知財講演会、パネルディスカッション
その他公的機関のセミナー等への講師派遣、知財相談会への相談員派遣、公的機関における知財活動への協力、知財関連機関および他士業との連携強化を予定しています。
日本弁理士会東海支部 支部長
弁理士 高橋 克彦
弁理士 高橋 克彦