意匠権は、特許権同様に特許庁での実体審査を経て登録されるため、安定的な権利と言うことができ、模倣品業者に対しても、警告、損害賠償・差止等を求める訴訟提起、水際取締等が可能となります。
また、2007年4月の意匠法改正により、存続期間が登録から20年となり、長期間にわたり保護を受けることができます。
日本で意匠権を取得した場合、日本国内で生産、販売、輸入等される製品については、上記のような権利行使が可能ですが、多くの場合、模倣品の生産・販売拠点は海外であるため、有効な保護を図るためには、併せて海外出願を検討する必要があります。
具体的な出願国としては、自社製品の生産国、主な販売国に加えて、模倣品の生産国、販売国、流通拠点となる国等を、これまでの被害状況と費用面から選定します。また、各国で意匠制度が異なるため(例えば中国の場合、現在は部分意匠制度、実体審査がない等)、これらに留意して戦略的に出願する必要があります。
弁理士 上部 祐美