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新聞掲載記事

更新:2008/02/24

商標の識別性

 商標法は、商標の一般的登録要件として、識別性を有することを定めています。つまり、商標として登録されるものは、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる商標でなければなりません。これをわかり易く言うと、例えばイチゴに「ストロベリー」という表示を付したとしても、需要者は単に商品名が表示されていると認識し、どの業者が製造販売しているものかを判別することができません。
 また、「ストロベリー」のような商品の普通名称は、同業者が広く使用を望むものであるので、商標として登録して一私人に独占使用を認めるのは不適当です。従って、商品の普通名称などは商標登録をすることができません。その他に登録できない商標の例としては、商品・役務の慣用商標、商品・役務の内容等を表示するもの、ありふれた氏・名称、極めて簡単な図形等が挙げられます。
 ここで注意する点としては、商品の普通名称は全て識別性を有していないという訳ではなく、指定商品の普通名称のみを標準的な態様で表記する商標は識別性を有していないということです。指定商品とは、商標出願する際に願書に記載する商品のことであり、必ずどの商品・役務について使用するものであるかを願書に明記しなければなりません。従って、指定商品の普通名称でなければ、普通名称でも登録になります。上記の例でいえば、イチゴに「ストロベリー」は登録になりませんが、指定商品がパソコンであれば、「ストロベリー」は登録となる可能性があります。
 また、指定商品をイチゴとした場合であっても、「ストロベリー」の文字に特徴的な図形を組み合わせることで登録となります。ただし、この場合、「ストロベリー」の文字部分に独占使用が認められたものではない点に注意する必要があります。
 以上のように、商標は商品を購入する際の販売指標としての役割を果たすものであり、商標の識別性は、商標登録の要件として判断されます。

弁理士 矢代 加奈子