日本弁理士会東海支部では、支部設立以来、支部設立を記念して毎年、1月末に知的財産セミナーを開催しております。
今年は、現在、多くの日本企業が進出しており、また、注目している中国に目を向け、日本企業が抱える模倣品対策の問題に関し、日本人及び中国人の両視点から、その現状と対策について、「中国市場において知的財産権をいかに機能させるか」をテーマに知的財産セミナー2008を行いました。
この知的財産セミナー2008では、基調講演として、トヨタ自動車株式会社の中国法人である豊田汽車技術中心有限公司知識産権部部長の加茂広氏により「中国におけるトヨタの模倣品対策」、セイコーエプソン株式会社業務執行役員知的財産本部長の上柳雅誉氏により「中国におけるセイコーエプソンの知財活動」の講演を行って頂きました。
加茂氏からは、中国での模倣品の実体、模倣品対策活動、現地取締機関の模倣品取り締まり状況、技術流失防止対策等を摘発現場の実写映像も交えてお話戴きました。
また、上柳氏からは、中国事業の展開、中国での知財活動、中国出願の留意点、中国語スタッフ・模倣品対策スタッフの育成、中国での模倣品の実体と対応等についてお話戴きました。
いずれのお話も、模倣品の実物の写真等を用いて、知財の専門家でない方にも分かりやすく、中国での模倣品の問題点とその対策のポイントを説明して頂きました。
また、今年は、特別講演として、中国の特許弁理士鄭泰強氏により「中国における知的財産権保護の現状」、高龍鑫氏により「中国特許出願における機能的限定の取扱い」についてお話戴きました。何れのお話でも、中国で毎日、知的財産の実務を行っている代理人の生の声を聞くことができました。
また、コーディネーターとして大庭咲夫支部長、パネリストとして、加茂氏、上柳氏、鄭氏、高氏を迎えて「中国における知的財産権の有効活用」をテーマとして、パネルディスカッションが執り行われました。中小企業が中国で知的財産権をいかに保護するか等について具体的なアドバイスを得ることができました。
この知的財産セミナーは、毎年、好評を博しているセミナーで、本年は、411名の参加者がありました。来年度も同様の知的財産セミナーを1月30日に予定しておりますので、本年の12月頃に、日本弁理士会東海支部のホームページをご覧戴けば、テーマ、申し込み方法等が掲載される予定です。
日本弁理士会東海支部 副支部長 山本 尚