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新聞掲載記事

更新:2007/12/14

拡大された先願の地位

 先願の明細書、特許請求の範囲、又は、図面に記載された発明と同一の発明についての後願は、その出願後に先願の公開公報又は特許公報が発行された場合、特許を受けることができません(特許法第29条の2)。
 例えば、あなたがフォークの発明をし、そのフォークの出願をする際に明細書にフォーク入れについても記載したとします。あなたの出願の公開前であればあなたの出願を引例に新規性なしとされることはないため、他人が同じフォーク入れについて出願し特許を取ったとしたら、あなたは面白くないですよね。
 そのような他人の出願は何ら新しい発明を公開するものではないため、発明公開の代償として特許を付与するという特許制度の趣旨にも矛盾することになります。そこで、公開公報等が発行された先願については、先願の地位を明細書や図面にまで拡大し、先願の明細書等に記載された発明についての後願は特許を受けられないとしました。
 ただし、先願と後願の発明者が同一の場合や後願の出願時に出願人が同一の場合は除かれます。上記の例で言えば、あなたがフォーク入れについて後日出願しても、自分の出願を引例に29条の2では拒絶されないことになります。

弁理士 江間 路子