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新聞掲載記事

更新:2007/11/04

進歩性について

 発明が特許を受けるためには、単に「新規性」があるだけでなく、更に「進歩性」があることを要する。
 「進歩性」がある発明とは、例えば、講演や説明会等を介して知った発明や、販売者から購入した機械装置に化体した発明、雑誌やインターネットで公開された発明に基づいて、通常の専門家(当業者)が容易に発明をすることができない発明をいう。

 「進歩性」の有無は、当該発明が属する技術分野における出願時の技術水準を的確に把握した上で、請求項に係る発明(特許請求の範囲に記載した発明)と引用発明との一致点と相違点を認定し、引用発明の内容及び技術常識から、当業者が請求項に係る発明に容易に想到できるか否かにより判断される。

 例えば、ゴムを用いた戸車用レールが出願時に販売されており、戸車用レールのゴム部分をビニールにした発明を特許出願した場合には、戸車レールの錆を防いで戸の運行時に生じる轢音を少なくする効果は、ゴムを用いてもビニールを用いても同じであるため、戸車用レールのゴムをビニールに置換することは当業者が容易になしうる材料変換である。よって、出願発明は、進歩性が否定され、特許を受けることができない。


弁理士 村瀬 晃代