東海会の活動について

新聞掲載記事

更新:2007/08/30

発明とは。

 「発明」という言葉は、世間一般には、「新しいアイデアを考え出すこと」という意味で使われていますが、特許権の対象となる「発明」は、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と、特許法で定義されています。ここで、「自然法則」とは、自然界において経験によって見出された法則をいい、この「自然法則」を「利用した」ものであることが必要となります。従って、自然法則を利用していない人為的な取り決め(ゲームのルール等)や、自然法則に反する永久機関、自然法則自体(万有引力の法則等)は、特許法上の「発明」に該当しません。

 また、「技術」とは、一定の目的を達成するための具体的手段であって、実施可能性や反復可能性があることが必要とされています。このため、個人の熟練によって到達でき、他人に伝達できない「技能」も、特許法上の「発明」にはなりません。更に、「創作」である必要があるので、天然物(例:鉱石)や自然現象等の「単なる発見」も、特許法上の「発明」に該当しません。
 なお、定義には、「高度のもの」とありますが、これは、実用新案権の対象となる「考案」と区別するためのものであるので、「発明」に該当するか否かの判断においては、あまり考慮する必要はありません。


弁理士 石黒 実希子