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新聞掲載記事

更新:2007/05/07

無効審判について

 無効審判とは、特許権を消滅させ得る攻撃的な手段です。具体例で見てみましょう。

 町工場のA社は、お喋りロボットを開発し、2005年4月から製造販売しています。お喋りロボットは、患者と会話ができるため、入院患者を元気づけ、回復を早める効果があり、地元では好評です。しかし、A社は特許権を取得していませんでした。一方、大企業のB社もA社と同じお喋りロボットを開発し、同年5月に特許出願を行い、同年8月に特許権を取得しました。暫くして、B社は、A社のお喋りロボットを知りました。

 B社は、特許権侵害を理由としてA社にお喋りロボットの製造販売の中止を求めてくるでしょう。A社はどうしたらいいでしょうか。A社の製造販売の開始時期と、B社の出願日とを比べて下さい。A社の方が若干ですが早くなっています。
 ですから、A社は、無効審判を請求し、その製造販売の開始時期がB社の出願日より前であることを立証することができれば、新規性欠如を理由として、B社の特許を無効にすることができます。この結果、B社の特許は始めから存在しなかったこととなり、A社は今まで通り製造販売を行うことができます。


日本弁理士会東海支部 教育機関支援機構
副機構長 弁理士 小林 かおる