1.意匠権の権利期間が延長された。
意匠権の存続期間が20年に延長されました。(従来は15年)
企業のデザイン戦略により、魅力あるデザインが長期間その価値を持ち続ける場合があり、そのデザインを意匠権として長期間保護できるようにしたものです。しかし、もちろん、延長される期間を含めて権利期間中は登録維持年金を支払わなければなりません。
優れたデザインの製品について意匠権を取得すれば、その意匠権は最大限20年間存続させることが可能となり、長期間販売される製品のデザインの保護が可能となります。
2.部分意匠の保護が拡充されました。
先願の意匠と同一又は先願の意匠の一部や部品と同一の意匠は、従来意匠登録を受けることができませんでした。しかしデザイン開発の実態として、製品全体の意匠をまず登録して、その後その部品や、部分を登録することが必要になりました。今回、同一出願人が先願の意匠の公報の発行される前日までにその部品や部分を出願すれば、それが認められるようになりました。
3.関連意匠が出願しやすくなりました。
関連意匠制度は、中心となる意匠(本意匠)のバリエーションの権利化を図ることができるもので、本意匠に類似する関連意匠を意匠権として保護するものです。従来は、関連意匠は本意匠と同日に出願することが必要でした。
しかし、最初に開発した意匠に市場の動向を見ながら追加的にバリエーションを開発することも必要であり、このため、本意匠の公報が発行される前日までに同一人の関連意匠の出願を認めるものです。優れたデザインの関連デザインを幅広く関連意匠出願して戦略的にデザイン保護を図ることが可能となりました。
関連意匠も部分意匠も、的確に保護を受けるためには、専門家である弁理士に相談されると良いでしょう。
4.意匠権として保護される対象が拡大されました。
画面デザインのうち、物品の本来的な機能を発揮できる状態にする際に必要となる操作に使用される画像について、意匠件として保護されるようになりました。例えば、DVD録画再生機の操作のための画面をテレビ機器の画面に表示しますが、この画面をDVD録画再生機の画像として保護されます。また、携帯電話の表示部に表示される通話機能の画像も携帯電話の画像として保護されます。
しかし、その機器とは別のビジネスソフトやゲームソフトの画面デザインは機器とは別ですので保護されません。この保護の対象についてはかなり専門的ですので弁理士に相談されることをお勧めします。
5.秘密意匠制度の見直し
意匠の審査が年々早くなり、出願した意匠が早く公開されることで、模造品等が早く出ることが懸念される。そのため、秘密にすることを請求でききる次期を第1年分の登録料を納付すると同時にすることも可能になりました。
6.新規性喪失の例外の適用手続の見直し
新規性喪失の例外の適用手続を受けるための証明書の提出期限が意匠出願から30日以内になりました(従来は14日)
7.模倣品対策の強化
意匠権の権利侵害に対する対応を容易にするため、模倣品の輸出と譲渡目的所持を追加し、刑事罰を強化しました。
弁理士 糟谷 敬彦